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LT4供給停止の不安に情報一元化で対応

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2012年03月08日(Thu) 23:28 by drharasho

[2012年3月8日(VOL.45 NO.10) p.28]
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2012/M45100283/

第54回日本甲状腺学会(2011年11月)

LT4供給停止の不安に情報一元化で対応


 東日本大震災では医薬品の製造工場が被災し,供給不安という従来は想定し
えなかった事態が発生した。国立成育医療研究センター(東京都)成育医療政
策科学研究室の原田正平室長は,レボチロキシンナトリウム(LT4)の国内生
産の大部分を担う工場の操業が停止したため,関連5学会などとの連携や情報
の一元化によって混乱を防いだ事例を報告した。

最初は風評対策から始まった

 甲状腺機能低下症に処方するLT4は国内の製薬会社1社が98%のシェアを占め,
工場は福島県いわき市の1カ所のみだった。生産ラインは震度6弱の揺れで大き
な被害を受け,約2週間の操業停止に追い込まれた。原田室長が生産停止を知
ったのは,ある医師のブログを読んだ患者から相談を受けたことが端緒だった。
この医師は卸会社の担当者の言葉として「間もなく入手できなくなります」
などと書いた。同室長は,福島第一原発事故後にヨウ素を含む消毒剤を飲用
する情報が流れた事例を踏まえ,「LT4の供給でも最初は風評対策から始まっ
た」と指摘した。

 同室長らは,日本内分泌学会や日本甲状腺学会など関連5学会とLT4安定供給
対策委員会を設立し,国内の在庫が枯渇する恐れがないことや1カ月を超える
長期処方の控えを求める見解をまとめた。
厚生労働省の了承を得て,混乱を
招かないよう全く同じ文言を関連5学会や日本医師会,日本薬剤師会に伝え,
各自のホームページなどで見解を周知した。

 LT4には錠剤と粉末があるが,工場復旧からしばらくは錠剤のみが生産され,
粉末を希望する患者への対応は後手に回らざるをえなかったという。また,
3〜4月の時点では国内の1社のみでは中長期的な安定供給の見通しが立たず,
国内シェア2%程度の外資系製薬会社に輸入の拡大を依頼した。

 こうした対応が奏効し,大きな混乱もなく7月下旬に長期処方自粛の要請
は終了した。国内の製薬会社は今後,約3カ月分の社内在庫を確保し,国内
に分散保管する計画という。同室長は「情報の一元化で混乱拡大は防げたが,
剤形によっては対応に差が生じてしまった。今回の問題は想定外で片付けず,
他の薬剤での対応にも生かすべき」とまとめた。


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