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精度管理事業消滅の危機を迎える新生児マス・スクリーニングの今後の課題

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2013年10月25日(Fri) 15:11 by drharasho

第40回日本マススクリーニング学会(8月23、24日)の
シンポジウムで発表した内容がMedical Tribuneに掲載されました。

投稿した原稿を以下転載しておきます。

刺激的な表題となっていますが、
「精度管理事業消滅」を回避するため、
現在、国(厚生労働省)、日本マス・スクリーニング学会、
(独)国立成育医療研究センターなどの関係者が、
汗と智恵を絞っているところです。

危機的な状況を回避し、新しい体制作りの目処が
立ちつつありますので、公表できる段階となりましたら、
このサイトで御報告します。

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精度管理事業消滅の危機を迎える新生児マススクリーニングの今後の課題

  新生児マススクリーニング(NBS)精度管理事業は,
2001年度の事業費一般財源化による地方分権推進,2004
年度の国庫補助金等廃止など中央政府の関与が低下した
うえ,
2011年度以降のタンデムマス・スクリーニングの
全国導入促進をきっかけとした、
NBS事業本体の外部委
託先の頻回すぎる変更,スクリーニング検査機関の急激
な集約化の影響により運営が困難に陥り,消滅の危機を
迎えている。大阪市で開かれた第
40回日本マス・スクリ
ーニング学会(会長=大阪市立大学大学院医学研究科発
達小児医学分野・新宅治夫教授)のシンポジウム「新生
児マス・スクリーニングの体制支援」(座長=千葉県こ
ども病院・高柳正樹副院長,札幌市衛生研究所・花井潤
師係長)において問題点と方策について提言がなされた。


精度管理事業消滅のカウントダウンを食い止める抜本的対策が重要

 国立成育医療研究センター研究所の原田正平室長は,
消滅へのカウントダウンが始まっている現状に対して,
47都道府県・20政令指定都市の単独事業の弊害ともいえ
る状況を改善させるための,早急な抜本的対策の重要性
を強調した。

検査における実施要綱の標準化や新しいNBSの全国一斉導入が必要

 精度管理事業消滅へのカウントダウンについて,原田
室長は過去を踏まえて以下に指摘した。

 まず,2001年度の一般財源化,2004年度の国庫補助金廃止
などにより
NBS関連事業への国からの直接の費用が打ち切
られた。こそのため,
NBS事業が都道府県・指定都市の単
独事業として位置づけられ、検査機関は自治体内部の施設
から民間施設へ外部委託,精度管理機関も新生児スクリー
ニング研究開発センターの自立しての運営が困難な状況に
ある。単独事業の位置づけから,
2008年春には大阪府によ
り事業費が削減対象とされた事例がおき,
NBS事業本体が
いつでも廃止できる危機的な状況にあることが明らかにさ
れた。

 また,精度管理事業については,自治体からの委託費,検
査試薬や採血用濾紙の品質管理費がおもな運営費用であった
が,
2011年度からのタンデムマス・スクリーニングの全国導
入促進により,検査機関が従来の
45施設から急激に集約化さ
れ、委託費、品質管理費ともに激減している。さらに,過去
30年間以上継続されていたNBSに関する厚生労働省研究班が
2013年度に消滅したことで,日本マス・スクリーニング学会
も含めた連携体制が構築できず,カウントダウンに拍車をか
けているという。この危機にあたり,同学会は
2012年に外部
精度管理に関する検討委員会を立ち上げ,同年に国立成育医
療研究センターで立ち上げられた希少疾患ワーキンググルー
プとの連携体制を構築している。

 また,NBS事業については,都道府県・政令指定都市の首長に
一義的な責任があり,委託先である検査機関,採血医療機関,
精査機関を自治体が核となって連携させるべきであるが,実際
は検査機関と採血医療機関との間の検体のやりとりに矮小化さ
れている。調査結果によると,適正な
NBS事業を支援するのに
不可欠なコンサルタント医師の委嘱は半数の自治体にすぎず,
さらに代謝・内分泌の専門はそのうち半数程度で,経験も少
ない医師が多かったという。

 同室長は「47都道府県・20政令指定都市の単独事業の弊害を
改善させるために,先天性代謝異常検査等実施要綱の標準化,
新しい
NBSの全国一斉導入などが求められる」と強調した。

【添付ファイル】


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