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治療薬の剤型に関するアンケート

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2010年07月23日(Fri) 11:37

甲状腺機能低下症の治療薬(一般名 レボチロキシンナトリウム)は商品名「チラーヂンS」あるいは「レボチロキシンNa」として処方されますが、日本では錠剤と散剤(粉薬)があります。先天性甲状腺機能低下症の場合、体重の増加や甲状腺機能の変化により、大人より細かな投与量の変更が必要となりますので、錠剤より散剤が使いやすいと言えますが、医療機関によっては錠剤しか扱っていない場合があります。赤ちゃんの時期から散剤で治療されてきたか、あるいは錠剤をつぶしたもので治療されてきたか、お尋ねします。(2010年6月18日~)

最初から散剤(粉薬)だった
63%
63人
最初から錠剤をつぶしたものだった(医療機関に散剤が無いため)
16%
16人
最初から錠剤をつぶしたものだった(散剤があるのを知らなかった)
9%
9人
錠剤をつぶしたものから散剤に変更された
5%
5人
最初、別の粉薬(チラーヂン末、乾燥甲状腺末)だった
2%
2人
上の選択肢以外
5%
5人

約1か月間で100人の方から回答を頂きました。
そのうち投薬内容について回答して頂いた95人について解析しますと、

最初から散剤(粉薬)だった66.3%63人最初から錠剤をつぶしたものだった(医療機関に散剤が無いため)16.8%16人最初から錠剤をつぶしたものだった(散剤があるのを知らなかった)  9.5%9人錠剤をつぶしたものから散剤に変更された  5.3%5人最初、別の粉薬(チラーヂン末、乾燥甲状腺末)だった  2.1%2人
となります。

チラーヂンSは50μgの錠剤=チラーヂンS50が1964年8月から販売され、
日本では次に、散剤である「チラーヂンS散」が、
小児内分泌医による共同研究の成果として、
1994年12月に販売開始となりました。

その次に、チラーヂンS25が1998年9月、チラーヂンS100が2000年9月に
販売され、現在に至っています。

チラーヂンS錠もチラーヂンS散も、甲状腺ホルモンを化学的に合成したもので、
薬効成分としては「レボチロキシン=T4」しか含んでいません。

・・・錠剤とするための添加物「部分アルファー化デンプン、トウモロコシデンプン、
D-マンニトール」、発色のための「三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄」が含まれています。
散剤は「トウモロコシデンプン」を添加物として含んでいます。

それに対して、似た名前の名前の「チラーヂン末」という薬があります。
これは化学的合成薬であるチラーヂンSが開発される以前に、
甲状腺機能低下症の治療に使われていた薬で、
動物(ブタ)の甲状腺を原料とする天然の甲状腺ホルモン薬で、
チラーヂンSが「T4」しか含んでいないのに対し、
トリヨードサイロニン(T3)とT4の両方を含み、
また生物製剤であるため、薬の成分が一定ではありません。

そのため、現在では、甲状腺機能低下症の治療には、
合成ホルモン薬(チラーヂンSなど)を使用するよう
勧められています。

しかし、チラーヂンSの散剤がでるまでは、
合成ホルモン薬が錠剤だけだったため、
投与量の細かな調節がしにくいなどの点があり、
チラーヂン末を希望する「大人の」患者さんがいたり、
昔昔から、チラーヂン末に慣れているというお医者さんがいるなどのため、
まだ多くの病院でチラーヂン末が処方されることがあります。

子どもの甲状腺機能低下症の治療では、
チラーヂンS散が勧められていて、
チラーヂン末が処方されることは、
本来無いはずなのですが、このような事情のため、
チラーヂンS散とチラーヂン末が
間違って処方されるなどすることがあります。

チラーヂンS 1gにはT4の成分が100μg含まれていますが、
チラーヂン末では、およそ100mgが同じ程度の成分量となり、
かりにチラーヂン末が 1g処方されると、
10倍の薬効成分が投与されてしまうことになり、
それが長く続くと著しい甲状腺機能亢進症となってしまいます。

そうした「医療事故防止対策として」、
チラーヂンS散は、2009年5月より
「チラーヂンS散0.01%」と名称変更されています。

今回の調査結果などは、2010年11月11日から
長崎市長崎ブリックホールで開催される、
第53回日本甲状腺学会で報告予定です。


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