情報ルーム
情報ルームの記事を表示しています。

マススクリーニングの再採血をするようにいわれたら

このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年01月23日(Wed) 10:51 by drharasho

新生児マススクリーニング(代謝異常症等検査)は
6つの先天性の病気を早期発見・早期治療することを目的としています。

それぞれの病気を見つけるため濾紙血の中の特定の物質を測定し、その
物質が異常に多かったり、少なかったりした場合(測定する物質により違
います)、一定の基準値(これをカットオフ値、cut-offと言います)を決めて
おきます。

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)では甲状腺の働きが悪いため、
血液中の甲状腺ホルモン(FT4)が低下し、それに反応して甲状腺刺激
ホルモン(TSH)が上昇します。 クレチン症の早期発見・早期治療のため
には、生後5日めころに採血し、TSHが高値を示した場合、クレチン症を
疑って精密検査をしますが、TSH高値=クレチン症ではありません。

お住まいの地域によって、少しずつシステムが違いますが、

1.初回採血でろ紙血TSHが30 mIU/L以上・・・ただちに精密検査

2.初回採血でろ紙血TSHが10~30 mIU/L・・・2回目の採血(再採血)

3.再採血でもろ紙血TSH 10 mIU/L以上なら・・・精密検査

4.精密検査のときに、血清TSHが30 mIU/L以上(あるいはFT4 1.5
ng/dl以下)なら甲状腺機能低下症と考え、甲状腺ホルモン補充療法
(チラーヂンS内服)を開始。

5.この直ちに治療を始める基準値は、小児内分泌科医の中でも違いが
あり、血清値15~30 mIU/Lでも治療する専門医が多いです。

6.精密検査のときに血清TSHが5 mIU/L未満は、ほぼ「正常」、
5~15 mIU/Lの場合は、一時的なTSH上昇を疑い、無治療で生後1~2
か月まで経過観察。

7.生後2~3か月を過ぎても、血清TSHが10 mIU/L以上なら、軽度の
甲状腺機能低下症(潜在性甲状腺機能低下症、軽症クレチン症)と考え、
治療開始。

8.生後2~3か月を過ぎて血清TSHが5 mIU/L未満は「正常」、5~10
mIU/Lなら無治療で経過観察。 といった対応が専門医の場合行われます。

生まれたばかりの赤ちゃんは、生後1時間以内くらいに全員TSHが
血清値で50~70 mIU/Lまで上昇します。

その後、徐々に低下して、生後5日頃にはろ紙血TSHで10 mIU/L(血清値
換算、約16 mIU/L)未満となることがほとんどですが、正常の赤ちゃんでも
低下が遅れたりします。

また赤ちゃんのお臍の消毒にヨードを含んだ消毒剤(茶色の消毒剤でイソジン
などが代表的なものです)が使われると、軽い一時的な甲状腺機能低下症が
おこり、ろ紙血TSHの高値が生後5日を過ぎても続くため、クレチン症が疑わ
れてしまうことがあります。

お母さんが子宮卵管造影をうけていると、赤ちゃんに影響することもあります。

再採血をうける赤ちゃんは、地域によって違いますが日本全体の平均では
1~2%くらいで(つまり100の赤ちゃんのうち1人、2人は2回目の採血)、
精密検査をうける赤ちゃんは、0.1~0.2%くらいです(500人から1,000人に
1人ということです)。

お子さんの状態は、現在、100人に1~2人の中の状態と言うことです。その
中から精密検査にまわるのは、地域によって違ってきますが、およそ5~10人
に1人と考えてください。

 この比率が高いか低いかは一概に言えませんし、ご心配なことと思いますが、
通常、精密検査が必要な場合は、再採血後、1週間以内には連絡があるはず
です。

再採血となる場合の初回TSHとしては、10~15 mIU/L程度までは、極軽度の
甲状腺機能低下症=潜在性甲状腺機能低下症に相当する値です。 少なくとも、
急いで診断治療をしなければいけない値ではありませんので、ご心配なお気持
ちはわかりますが、どうぞ過剰な心配をされることなく再採血の結果判明をお待ち下さい。


「よくある質問」一覧に戻る