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ヨード(ヨウ素)欠乏による甲状腺機能低下症

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2011年01月13日(Thu) 17:55

甲状腺ホルモンの重要な材料の一つは、昆布などに多く含まれるヨード(ヨウ素)です。

ヨードは微量元素の一つですが、世界の多くの国は、土壌中に含まれるヨードが少なく、
またヨードを多く含む海産物を食べる食習慣がないなどのため、
ヨード欠乏に陥り、その結果、高頻度に甲状腺機能低下症を発症します。

そのため、食事性のヨード欠乏地域では、主に食塩にヨードを添加し、
意図的に必要量のヨードを摂取します。

日本は世界の中でも非常に稀な、食事性にヨードの摂取量の多い地域であり、
むしろヨード過剰摂取による甲状腺機能低下症が報告されています。

しかし、そうした日本であっても、ある状況に置かれると、
ヨード欠乏による甲状腺機能低下症が発症してしまいます。

それは普通の食事が口からとれない状態のため、経腸栄養剤という栄養物を、
口から胃や腸に管で流し込む場合などに起こります。

日本で発売されている「経腸栄養剤」の中には、ヨードを全く含まないか、
極微量しか含まないため、その栄養剤だけで長期間栄養されていると、
いつのまにかヨード欠乏症となり、最終的には甲状腺機能低下症にまで至ります。

そうした例が学会等で報告されることが続いているため、
日本小児内分泌学会では会員向けのニュースレターで、
警告を出していますので、それを転載しておきます。

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日本小児内分泌学会メールニュース  **2010-13**  2011/1/11**
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 ヨウ素を含有しない経腸栄養剤による甲状腺機能低下症発生について
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経口摂取不能な重症心身症患児等に、長期間、経腸栄養剤(経口・経管)のみを
投与した場合に、ヨウ素を含有しないことによる甲状腺機能低下症の発生が、
これまでに本学会や他の学会で報告されています。
また、薬事委員会が会員から事例報告を受ける例もあり、当委員会として、
この問題への対応を検討しました。
 
経腸栄養剤のうち、未消化態栄養剤として消化吸収能がある場合に使用される
のは、ラコール(大塚製薬)とエンシュア・リキッド(アボットジャパン)ですが、
これらにはヨウ素が含まれていません。したがって、経口食の併用やヨウ素の添加を
行わず、長期に使用した場合には、ヨウ素欠乏をきたす可能性があります。
経腸栄養剤のうち、消化態栄養剤(エレメンタルダイエット)として消化機能の著しく
低下している病態で使用されるのは、ツインライン(大塚製薬)、エレンタール、
エレンタールP(味の素製薬)ですが、ツインラインにはヨウ素は含まれていません。
エレメンタルダイエットであるエレンタールとエレンタールPには、ヨウ素が含まれて
います[エレンタール:ヨウ化カリウム(KI)として19.6μg/80g(300kcal)、エレンタール
P:KIとして33.0μg/80g(312kcal)]。

薬事委員会として、大塚製薬(ラコール、ツインライン)とアボットジャパン
(エンシュア・リキッド)の2社に、ヨウ素欠乏への善処をお願いしたところであります。
その結果、医薬品という制約上、すぐにヨウ素を添加するという対応は難しいが、
製品の長期使用によりヨウ素欠乏をきたす可能性があるという情報を、医療現場に
的確に伝えていく企業努力をする旨の回答がありました。

薬事委員会としても、今後2社と本件に関する情報交換を続けてまいります。
参考までに、年齢別のヨウ素の摂取基準量の一覧表を示します(「第一出版
日本人栄養摂取基準2010」より引用)。

http://jspe.umin.jp/2010_yoso.shokujisesshukijyun.pdf

日本小児内分泌学会 薬事委員会


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