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経腸栄養剤中のヨード不足による甲状腺機能低下症

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2011年01月13日(Thu) 18:00

日本内分泌学会でまとめた
「重篤副作用疾患別マニュアル」の甲状腺機能低下症編
経腸栄養剤中のヨード不足による甲状腺機能低下症が
紹介されています(26、27ページ)。

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3)経腸栄養剤

長期的に経腸栄養剤のみで栄養されている重症疾患を有する小児において、
ヨード欠乏により甲状腺機能低下症が惹起されたとの報告がある100,101,102)。

経腸栄養剤のみの期間は8~11 ヶ月100,101)で、いずれも甲状腺腫に気づかれ、
その後の検査で甲状腺機能低下症が明らかとなっている(9歳、4歳、4歳のいずれも女児例)

1例は120μg/日のヨード補充、1例はレボチロキシンの短期治療後の50μg/日のヨード補充、
1例はレボチロキシン治療後に育児用粉乳に変更され、甲状腺機能低下症が改善している。

最近、後藤ら102)は、3年以上経腸栄養剤のみで栄養されている7例(2歳4か月から
15 歳7ヶ月)で甲状腺機能を検査し、2例(13 歳女児、14 歳男児)にヨード欠乏症
甲状腺機能低下症を認めたと報告している。

これら5症例で用いられた経腸栄養剤中のヨード濃度は、いずれも日本での同年齢のヨード
摂取推奨量(表2)を満たすには不十分であった。



経腸栄養についてのガイドライン103)では、小児の栄養管理において「静脈栄養および
経腸栄養施行時には、ビタミンおよび微量元素は必要量を投与する」と記載されているが、
主要濃厚流動食等の中で医薬品11 品目中ヨード濃度の記載があるものは3品目であり
(エレンタール、エレンタールP、ヘバンED)、それらでも同年齢のヨード摂取推奨量は
満たさない104)。

長期的に経腸栄養剤のみで栄養する場合は、ヨード摂取推奨量に相当するヨード補充を全例で
行う必要があり
補充が不十分と考えられる場合は、少なくとも6ヶ月に1回は甲状腺機能検査が
必要である。


文献

100) 山内秀雄,他. 長期経管栄養施行中の重度障害児における微量元素欠乏症―特に
ヨード欠乏症について―. 脳と発達23:208-210,1991.

101) 児玉浩子,他. 経腸栄養児のヨード欠乏と甲状腺機能障害、および経腸栄養剤の
ヨード含有適正化の検討. 成長科学協会研究年報26:211-217,2003.

102) 後藤元秀,他. 長期経腸栄養による欠乏の危険性:経腸栄養剤のみで管理されている
重症心身症児の甲状腺機能評価. 第41 回日本小児内分泌学会学術集会プログラム・抄録集p.162, 2007.

103) 日本静脈経腸栄養学会. 小児の栄養管理静脈経腸栄養ガイドライン(第2版)南江堂p.64-76, 2006.

104) 山東勤弥. 病態別経腸栄養剤(7)微量元素経腸栄養バイブル(日本医事新報社)p.64-74, 2007

【添付ファイル】


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