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子どもの甲状腺は大丈夫

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2011年03月19日(Sat) 15:02 by drharasho

日本核医学会、つまり放射線障害の専門家集団からの情報です。

チェルノブイリ事故後の子どもの甲状腺がんの増加ばかりが、
報道され、過剰な心配を招いていますが、
その時でも隣国のポーランドでは、子どものがんは増えませんでした。

その理由と、日本ではさらに心配いらない、というエビデンス(科学的根拠)です。
用語が難しいですが、参考にして下さい。

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日本核医学会から会員へのメール情報です。

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差出人: 日本核医学会 <jsnm@mtj.biglobe.ne.jp>
日時: 2011年3月18日 11:05:35JST

件名: 一般社団法人日本核医学会からのお知らせ 

2011年3月号外2

日本核医学会からのお知らせ (号外2)
 2011年3月18日

広報委員会

小児甲状腺ブロックの必要性について

東北関東大震災における福島原発事故:
2011/3/17現在において小児甲状腺ブロックは不要です

http://www.jsnm.org/japanese/11-03-17-0

上記の記事をインターネットで閲覧不能な地域もあると思われますので、
現場の医師が読めるようにメールでも全文掲載しました
(会員専用コンテンツ)。
なお、一般向けの広報文書も検討中です。

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 東北関東大震災で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々に
心からお悔やみ申し上げます。

 また、被災地域の一日も早い復興をお祈りいたします。
 現在敢闘されておられるすべての皆様のためお祈り申し上げます。

 放射線・核医学診療をされておられる会員の皆様におかれましては、
東北地方地震に伴う福島原子力発電所事故による放射能漏れに由来する
地域住民の健康への影響を懸念されておられると同時に、一般の方々から
相談を受けることが多くなっておられるであろうと推察いたします。

 特にI-131の体内被曝による子供達の被ばくを心配され、無機ヨードによる
甲状腺ブロックが必要ではなかろうかという点に関して苦慮されておられる
会員も多々おられることと思い
ます。

 現状の大気・土壌汚染状況から判断し、下記の理由で、現状では
小児の甲状腺ブロックは不要であると考えます。

 ただし、今後の状況変化によっては必要となることもありますので、
政府発表・関連自治体発表・東京電力発表・報道情報などを十分に
注視されますようお願い申し上げます。

(1)チェルノブイリで小児甲状腺発癌の誘因になった甲状腺線量の大部分は
ミルクに含まれていたI-131による内部被ばくに由来することが示されています。

 チェルノブイリ事故では、大規模な被ばく発生後4日目に、ポーランドが国を挙げて
無機ヨードを全ポーランドの小児の90%に配布いたしました。
 そうしなかった隣国のウクライナやベラルーシでは小児の甲状腺癌が増加したのに
対し、結果的にポーランドでは甲状腺癌増加は認められませんでした。

 しかし、

1)もともと内陸国のウクライナやベラルーシは食物中のヨード欠乏国であるのに対し、
ポーランドは海沿いの国でさほどヨード欠乏ではなく、

2)ポーランドは国内での牛乳を禁止して、すべて輸入粉ミルクに変えたという処置も
行っています。

 これらの要因がかみ合い、結果として甲状腺癌の増加がなかったのであり、
必ずしも単回のヨード投与が単独で効果を現したわけではないと考えられています。

(2)安定ヨウ素の投与の有効性に対する考え方は、一度に多量の放射性ヨウ素の被ばくを
受けた方に安定ヨウ素の単回投与で競合的に抑制するというもので、
単回投与後に被ばく地から待避することが重要であるとされています
(Zanzonico PB, et al. Health Phys 78;660-667, 2000, 安定ヨウ素剤取り扱
いマニュアル;原子力安全研究協会平成15年3月)。

 長期少量の暴露に対する効果は不明です。

 現状で安定ヨウ素を投与することはむしろ甲状腺機能の安定を乱し、今後起こることが
否定し得ない大規模被ばく等においてはかえって甲状腺被ばくを助長する危険性さえ
あります。

 食事中のヨウ素量の多い日本では、通常の食生活を行うことで十分にヨウ素を摂取
できており、無用なヨウ素剤の服用等は避けるべきと思われます。

(3) ICRPから勧告されている小児実効線量限度の1mSvの状況では、甲状腺の
組織荷重係数から甲状腺線量は20mGyとなり、この線量では小児甲状腺癌誘発が
示されたことはないとされています(ICRP Pub94)。

 チェルノブイリ事故で生じた小児(0-7歳)の平均甲状腺線量は、ウクライナ、ベラルーシで
0.15-3.10 Gy(地区毎の平均範囲)と報告されており、桁違いの数値です
(J Radiol Prot 2006;26:127)。

(4)小児甲状腺線量は約4.3x10-7 Gy/Bqと報告されています(ICRP Pub94)。
 20 mGyに相当する甲状腺集積量は1.3 μCiに相当します。
 甲状腺ヨード摂取率を正常上限の40%と仮定すると、体内に3.25 μCi、715万cpm
(100%の計数効率として)のI-131が体内に入ることに相当します。

 これは通常のサーベイメーターで容易に感知できる高線量です。

(5)しかしながら、現状では地域住民の方々の汚染サーベイの結果は、ほとんどの方が
汚染なし
(つまりは検出感度以下)の結果と報道されていますので、4項の量の体内汚染が
起こっているとは到底考えられません。

(6)空間線量率は体外被ばくを示すだけです。雪・雨が降って土壌にあろうが、体内被ばくが
急増するわけではないと思われます。

(7)福島市内の上水道中のCs-137、I-131濃度が若干増加したと報道されていますが、
通常の飲用に問題がないとされる規制よりも下の値です。

(8)甲状腺機能低下症発生のリスクは、発癌リスクよりもさらに低いと考えられます。
通常医療として行われるバセドウ病内用療法における目標線量は機能正常を目指す場合で
60-80Gyです。これは3項の記載に従って想定される、発癌リスクを抑えるために甲状腺
ブロックをすべき上限の甲状腺線量20 mGyと比較しても非常に大きな数字であり、
現状の空間放射線率では機能低下症を引き起こすまでの組織破壊は起こすことは
あり得ない
と言ってもよいと考えられます。

日本核医学会ホームページ http://www.jsnm.org/

以上


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