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福島原発事故による妊婦・授乳婦への影響について

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2011年03月19日(Sat) 18:00

ちょうど、牛乳やホウレンソウから微量の放射性物質が検出された、
という情報がでて、改めて不安な気持ちになっている方も多いと思いますが、
不安は、十分な知識が無いと余計に大きくなります。

科学的に正しい、多くの科学者の見解に裏打ちされた情報を
提供していきますので、どうかそうした情報を知ることで、
不安を少なくする力として下さい。

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牛乳とホウレンソウから基準値超の放射線量 福島、茨城

(03/19 16:37、03/19 17:09 更新)

 枝野幸男官房長官は19日の記者会見で、福島県内の牛乳4 件と茨城県のホウレンソウから、
福島第1原発事故を受けて設定した食品衛生法の放射能4 件の暫定基準値を超える放射線量
検出された、と発表した。厚生労働省が詳しくデータを分析し、出荷規制が必要かどうか検討
すると述べた。

 その上で、暫定基準値を超えた牛乳を日本人の平均量で1年間摂取した場合、放射線量は
CTスキャン1回分、ホウレンソウでは同1回の5分の1分だと指摘。基準値は一生飲食を
続けた場合に健康に害が出るとの前提で設定された
とし、冷静な対応を求めた。

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平成23 年3 月19 日

福島原発事故による妊婦・授乳婦への影響について(PDF)

社団法人日本産婦人科医会 会長 寺尾 俊彦

 3 月11 日に発生した東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所の
連続事故による、放射線被ばくを避けるために、その周囲20 キロ圏内の
住民に避難指示、20 キロから30 キロの圏内の住民に屋内退避の指示が
出ています。

 このため、妊産婦や、授乳婦そして、新生児、乳幼児に対して、放射線被ばくを
心配する声が上がっています。
 しかし、放射線被ばくによる影響は、事故が起こった場所からどれだけ離れている
かによって、異なります。
 現時点で報道されている被曝線量では、原発のすぐ近くで大量に被曝した場合は
別として、妊婦、胎児、授乳等には特に悪影響を及ぼさないレベルである
と考えられます。
 誤った情報や風評等に惑わされることなく、冷静に対応されますようお願い申し上
げます。

1. チェルノブイリ原発の大事故でも、避難距離は50 キロでした

 レベル7であった史上最大のチェルノブイリ原発事故の時でも、約50 キロ離れ
ていれば、健康を守るのに十分であったと記録されています。

 今回の、レベル5と判断された、福島原発事故では、50km 以上離れた地域での
放射線による健康被害の可能性はほとんど考えなくてよいでしょう。
 また、現在、総線量100 ミリシーベルトを超えないように、避難・屋内退避などの
指示が出されていることから、30km以上離れていれば、健康被害はないと考えられます。

2. 被曝線量は、数値だけでなく単位が大事です。単位を確認してください

 報道の多くは、線量の単位として、人体への放射線の影響度を示す‘1 時間
あたりのシーベルト(Sv/h)’を使用しています。
 例えば、100 マイクロシーベルト/時間の放射線を10 時間被曝すると、総被曝
線量は1,000 マイクロシーベルト(= 1 ミリシーベルト)になります。
 これに対して,産婦人科診療ガイドライン等は、放射線エネルギーの総量
(吸収線量)を示すグレイ(Gy)を単位として使用しています。
 今回は、1 グレイ=1シーベルト であると理解してください。
 また、1,000 マイクロ = 1 ミリ です。

3. 100 ミリシーベルト(おおよそ100 ミリグレイ)以下では、被害はありません

 胎芽・胎児への影響は、妊娠週数と被曝線量によりますが、器官形成期
(妊娠初期)であっても100 ミリシーベルト(おおよそ100 ミリグレイ)以下の
被曝線量であれば問題はありません。
 
 一方、人体(妊婦・授乳婦を含む)は、年間およそ2.4 ミリシーベルトの自然
放射線を被曝しています
が、一度に数百ミリシーベルト以上を被曝した場合は
人体に影響(急性障害:吐き気・嘔吐、リンパ球減少など)する場合があります。
(白内障は2500 ミリシーベルト以上)

 防災体制の基準としては、原子力発電所で0.5 ミリシーベルト/時間(500 マイ
クロシーベルト/時間)以上の被曝が予測される場合に、緊急事態が宣言されます。
 その周囲については、総量10~50 ミリシーベルトの被曝が予測された時点
で屋内待避、総量50 ミリシーベルト以上が予測された時点では避難となります。

 国からの情報は、多くの機関から監視されており、正確な情報が伝えられて
いると評価されますので、上記の基準により、現時点での避難勧告等が
出ているのです。

4.万一被ばくした場合の被害

 チェルノブイリ原発事故後20 年の経時的調査による国連のレポートによると、
この事故により、子供の時にミルクを飲んで被曝した人たちの甲状腺がんが著明
に増加しましたが、白血病や先天異常児等は増えなかった
と報告されています。

 この甲状腺がん増加の原因は、放射性ヨードに汚染された空気を吸い込んだり、
汚染された草を食べた牛のミルクには、放射性ヨウ素が多量に含まれていたため
です。

5. 甲状腺がんの予防対策

 原発事故等で、放射性ヨード等の放射性物質に暴露された場合は、
甲状腺への放射性ヨードの取り込みをブロックできるヨウ化カリウムの
予防投与が推奨されています。

 具体的には、50 ミリシーベルト以上の被曝があった場合、妊娠中・授乳中の
女性も含め、40 歳未満の人に、ヨウ化カリウム(50mg)丸薬を2錠、1 回のみの
予防投与が勧められます。

 副作用は、胎児や新生児ではヨウ化カリウムによる甲状腺機能低下症、成人で
はヨウ素過敏(アレルギー反応)、甲状腺機能抑制などです。
 ヨウ化カリウムの授乳への影響は、短期間であれば問題ありません。

 なお詳細につきましては、日本産科婦人科学会ホームページに3 月16 日付で
掲載の「福島原発事故による放射線被曝について心配しておられる妊娠・授乳中
女性へのご案内(特に母乳とヨウ化カリウムについて)」を参考にしてください。

参 考
1. 福島原発事故による放射線被曝について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内
(特に母乳とヨウ化カリウムについて)(日本産科婦人科学会HP より
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110316.pdf

2. 放射線被爆と先天異常(日産婦医会HP より)
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/SENTEN/kouhou/hibaku.htm

3. Precautions Should Limit Health Problems From Nuclear Plant’s Radiation
 (The New York Times)
http://www.nytimes.com/2011/03/16/world/asia/16health.html?ref=health

【添付ファイル】


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