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チラーヂン不足、代謝内分泌専門医の見方は

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2011年03月20日(Sun) 19:45

大人の甲状腺機能低下症を診ている専門医の意見が出ていました。

このなかで、チラーヂンS(=レボチロキシンナトリウム)と
チラーヂン末(乾燥甲状腺末)の違い
もふれられていますが、
とくに子どもの場合注意が必要です。

子どもには「チラーヂン末」は使ってはいけませんし、
また代替薬と書かれいている「チロナミン」も使ってはいけません。


チロナミンは脳内に入ることが出来ず、脳内で甲状腺ホルモンが必要な
子どもにとって、レボチロキシンナトリウムの代用品にはなりません。

以下の文章は、あくまで大人の場合、としてお読み下さい。

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東北地方太平洋沖地震
チラーヂン不足、代謝内分泌専門医の見方は

横浜市西部病院代謝・内分泌内科部長の方波見卓行氏が応急対応を解説

2011年3月18日 星良孝(m3.com編集)

   「甲状腺ホルモン薬のレボチロキシンナトリウム(商品名:チラーヂンS)の供給が困難
になっている。甲状腺機能低下症の患者は全国に60万人近くおり、影響は大きい。今後、
徐々に状況は改善すると思われるが、急ぎどう対応すべきかを考える必要がある」こう説明する
のは、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院代謝・内分泌内科部長の方波見卓行氏だ。

T4とT3の不足へ対応必要

 甲状腺機能低下症の患者は全国に約60万人がいるという。治療薬として、甲状腺ホルモン薬の
レボチロキシンナトリウムがあり、特にあすか製薬が大部分を供給している。頻用されているのが
「チラーヂンS 錠」で、そのほか「チラーヂンS 散」、「チラーヂン末」などが使われている。

 現状では、今回の地震であすか製薬のいわき工場が被災して、供給困難となっている。
甲状腺ホルモンには分子に含むヨードの数により、ヨード4つのサイロキシン(T4)、ヨード3つの
トリヨードサイロニン(T3)が存在する。「あまり知られていないことだが、チラーヂンSはT4から
成るのに対して、チラーヂン末はT4とT3から成っている。そもそも代替薬に乏しい薬剤だが、
T4だけでなく、T3も含有するためことからなおさら注意を要する事情がある。どちらの薬剤とも
今後十分な供給が困難となると推察される」(方波見氏)。

 影響としては、薬剤の半減期を踏まえると、遅かれ、早かれ甲状腺ホルモンは低下する。
「血中半減期は、チラーヂンS散0.01%を服用した場合、正常者で6日から7日、甲状腺機能
低下症 の患者の場合は9日から10日となっている。従って、服薬しない場合も、中止翌日から
重度の機能低下となることはない
が、特に健康障害が危惧されるのは、甲状腺全摘例、
チラーヂン服薬量の多い例で、中止に伴う影響が大きく、迅速な供給回復が求められる」(方波見氏)。

 対応について現状では、公的機関等からの指示はない(3月17日現在)。方波見氏は、
「個々の医療機関で対応しているとものと思われる。まず求められるのは供給不足が解消される
までの間、不要な長期投与を回避すること、また残薬不足時の対処など、問題があれば専門医に
コンサルトするのが望ましい」
と説明する。

チロナミンで補う方法は?

 チラーヂンS(T4)の不足を、T3を含む薬剤であるリオチロニン(商品名:チロナミン)で代用
する方法が考えられる。方波見氏は、「効果比は、チラーヂンSが100μgに対して、チロナミンが
25μgとなる。チロナミンは半減期が短く、1日3回に分けて投与する。代用可能だが、T3の効果
があるので心疾患の既往のある方を中心に服用には注意が必要となる」と説明する。

 さらにレボチロキシンは、後発薬もあり使用可能。ただし、「日本国内で従来のシェアが低いため、
急な増産困難である可能性がある」と方波見氏は指摘する。サンド社のホームページでは、「サンド
株式会社の製品につきましては、山形県上山市の工場で操業再開し、順次生産を行っております。
被災地への供給につきましても、安定供給に全力をあげて取り組んでまいります」
と出ている。なお、
緊急輸入の動きが出ている。

 当面の対応としてチラーヂンの維持用量は1日1.5μg/kg/日から2.5μg/kg/日とされるが、現在の
投与量が1日37.5μg以上の場合、25μgに減量投与する考え方もある。方波見氏は、「減量が一律に
良いとはいえないが、投与量を可能なかぎり減らすという観点から対応と考えてもいい」と話す。

 今後の方向性として、あすか製薬のホームページによれば、「製造委託会社による生産、海外製品
の緊急輸入、被災工場の操業再開、等のあらゆる方策により、供給再開が可能な見込み」となっている。
方波見氏は、「いずれにせよ、迅速、正確、十分な情報開示と冷静な対処により、残り少ない資源が
有効利用されることを切に望む」と述べる。


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