情報ルーム
情報ルームの記事を表示しています。

1歳くらいで血清TSHが5mU/L前後の場合の考え方

このエントリーをはてなブックマークに追加

2011年04月01日(Fri) 07:41 by drharasho

こども健康倶楽部への相談メールで相談件数が多い方の質問は、

「1歳くらいで血清TSHが5mU/L前後ですが、治療は必要でしょうか。
成長発達には今のところ、何も問題はないようです」

最近もそうした質問がありましたので、
回答例として載せおきます。

---------------------------------------------------------------------------------
お子さんの状態は、潜在性甲状腺機能低下症と呼ばれるものが、
考えられます。

新生児マススクリーニングを始める前には、
先天性甲状腺機能低下症の発見頻度は、
赤ちゃん6,000人から7,000人に1人
と言われていましたが、
スクリーニング方法が改善されるたびに発見頻度が上昇し、
今では赤ちゃん2,000人に1人くらいが治療されています。

このことは、非常に軽度の甲状腺機能低下症(=潜在性甲状腺機能低下症)や
一時的に治療を必要とする一過性甲状腺機能低下症のお子さんも、
治療されている
ことを意味しています。

中程度から重度の甲状腺機能低下症のお子さんは、治療しないと、
成長が遅れたり知能の発達が障害されることがわかっていますが、
軽度の甲状腺機能低下症、とくに潜在性甲状腺機能低下症とよばれる、
非常に軽度の甲状腺機能低下症の場合の、
標準的な治療方針は決まっていません

この潜在性甲状腺機能低下症については、
大人でもそうした状態となることが多く報告され
(とくに中高年から)、その治療の可否も大きな問題となっています。

大人では、血清TSHが10 mU/L以上は治療しよう
という方向になっていますので、子どもでもこの値以上であれば、
治療するのは、小児内分泌専門医の、ほぼ統一した見解となっいます。

問題は(4)5~10の間で、TSH値が揺れ動く場合です。

このような状態では、甲状腺ホルモン値は、
まず基準範囲(正常範囲)にありますので、無治療で経過しても、
すぐに明らかな成長障害や知能障害となることは、ありません

ただ、潜在性甲状腺機能低下症に相当する甲状腺機能が、
何年も続いた場合、どのような影響がでるか、
きちんとした研究結果は得られていません。

わかっていることは、たまたま小学校年齢くらいで発見された、
潜在性甲状腺機能低下症のお子さんの中に、
少し背が低いとか、少し学校の成績が悪い、といった例があることで、
専門医の多くは、こうしたデータから、
潜在性甲状腺機能低下症であっても、
身長の伸びが止まる思春期の終わりまでは、
治療を勧める
ようにしています。

ですので、ご質問に対する、私のお返事としては、
少量の甲状腺ホルモン薬の治療を始めて、
TSHが1~2くらい、FT4が基準範囲の上半分にはいるように、
甲状腺ホルモン薬を調整しながら、成長発達をみていくのが、
安心な方法でしょう、ということになります。


「よくある質問」一覧に戻る