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クレチン症講座ー上級編

Lesson27 : 大人になったらどうなるの?…1

27-1 大人になったら

クレチン症は生まれつきの病気である「先天性甲状腺機能低下症」です。ということは生まれてしばらくしてからかかる病気である「後天性甲状腺機能低下症」もあるわけです。
その代表は、「橋本病」とも呼ばれる「慢性甲状腺炎」です。橋本病は中年以降の女性に多くみられ、また出産をきっかけに発病することもあります。 橋本病は、自分の身体を守る免疫機能が自分の甲状腺を攻撃してしまい、甲状腺に慢性の炎症が起こり、甲状腺ホルモンがうまく作れなくなってしまう病気です。甲状腺がほとんど働かなくなってしまうと、結局は欠損性のクレチン症などと同じで、甲状腺ホルモン薬をずっと飲まなくてはなりません。
このように、大人になったクレチン症といっても、「後天性甲状腺機能低下症」の方と治療に関してはほとんど変わりありません。


27-2 医療費のこと

大人になって変わることの第一は、医療費の支払いです。
通常、クレチン症の場合、「小児慢性特定疾患治療研究事業(小慢事業)」の申請をします。これは新規申請では18歳未満、継続申請では20歳未満までは、保険診療の自己負担分を国と都道府県で折半して補助する制度です。
Lesson13の「小児慢性特定疾患について」を参照してください)
小慢事業の制度はこのように年齢の制限がありますので、成人になったら、自己負担分の支払いをしなくてはなりません。

クレチン症は、生涯を通じて治療しなくてはならないケースが多く、この場合、成人になったからといって治療を中止することはありません。大人で小児慢性特定疾患治療研究事業に相当するものは、難治性疾患克服研究事業(特定疾患調査研究分野)で123疾患が対象となり、その中で医療費の補助対象としては特定疾患治療研究事業により45疾患が指定されています(難病情報センターのホームページより)。橋本病という後天性甲状腺機能低下症は、例えば北海道では地方自治体が指定する特定疾患として生涯にわたる補助が受けられていましたが、財政悪化に伴い指定の見直しが行われ、2005年(平成17年)9月30日で対象からはずされています。

生まれつき甲状腺機能に異常があるクレチン症が大人になると補助が受けられなくなるというのは不自然な話ですが、社会的状況や病気の重症度、医療費の負担の程度により公的な支援に差があるのは、現在の医療制度の中ではいたしかたのないことかもしれません。ただし、別記する生命保険加入の際の条件付けといった、ある種の社会的差別ともいえる状況の改善は今後も必要といえます。