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クレチン症講座ー上級編

Lesson28 : 大人になったらどうなるの?…2

28-1 妊娠・出産のこと

大人になれば、結婚、女性では妊娠・出産も考えなくてはなりません。
レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)をきちんと服用し、甲状腺機能が正常な状態が続いていれば、普通の生活ができるわけですから、原則として、結婚、妊娠、出産などになんの問題もありません。
実際に、新生児マススクリーニングをきっかけに診断、治療が始められた先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の方も、一部ではもう成人しています。
「後天性甲状腺機能低下症」の代表的なものである橋本病の場合でも、甲状腺ホルモン薬(チラーヂンS)の服用で、甲状腺機能を安定させることにより、妊娠・出産がじゅうぶんに可能です。適切な治療量を服用していれば、副作用の心配も無く、授乳も可能です。
病気のない一般の方でも、妊娠中は甲状腺ホルモンの必要量が増えますので、先天性甲状腺機能低下症であれ、後天性甲状腺機能低下症であれ、妊娠中はチラーヂンSを多く飲むことが必要です。血液中の甲状腺ホルモン濃度を安定させるために、定期的な検査は必要ですので、かかりつけの医師および、産婦人科の医師にきちんと相談しながら経過をみていくことが大切です。

28-2 遺伝のこと

結婚などを考えるとき、一番の問題は「遺伝」のことでしょう。
遺伝がどれくらい病気に関与しているかは、クレチン症の原因によって違います。それだけに、5、6歳頃に原因を調べるための入院などして行う「病型診断」と言われるものが重要になります。
「病型診断」についてLesson24を参照)
一般論として、欠損性や異所性などの場合、はっきりした遺伝性はいわれていませんので、ほとんど問題になりません。
「甲状腺ホルモン合成障害」と呼ばれる病型(病気の原因別のタイプわけ)の中には、遺伝性がはっきりしているものもありますので、注意が必要です。詳しいことは、一人一人のケースで違いますので、主治医の先生とよく相談されることをお勧めます。
クレチン症の場合、早期に発見し、適切な治療(チラーヂンSの服用)を行っていれば、健康な人と変わりない生活を送ることができます。そういう意味でも、遺伝に関してあまりに神経質に考えすぎず、どんなことでも前向きに取り組むことが大切ではないでしょうか。