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小児内分泌専門家の医師(聖徳大学児童学部児童学科教授 原田正平先生)のコラムや、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)をはじめ小児科関連に関する情報やサービスを掲載します。

チラーヂンSの供給状況について(3月22日情報)

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2011年03月23日(Wed) 03:51 by drharasho

すでに何回か情報提供していますが、チラーヂンSの供給状況について説明します。

 先天性甲状腺機能低下症の唯一の治療薬である、レボチロキシンナトリウムは、
国内では、あすか製薬株式会社のシェアが98%、残りの2%がサンド株式会社でした。

 あすか製薬の製品の商品名が「チラーヂンS」で、同じ甲状腺ホルモン薬ではあるものの、
成分が違う薬に「チラーヂン」があります。先天性甲状腺機能低下症に間違って
使用され、医療事故となった例もありますので、注意が必要です。


 今回のチラーヂンS供給不足の報道や、日本医師会などの文書中でも、この両者が混同されており、
非常に問題です。
この点は、以前より、日本小児内分泌学会からあすか製薬に申し入れしていますが、
今回のできごとを通しても、名称が不適切であることが明らかとなったものと考えられます。

 本題に戻ります。

 この国内生産の98%のシェアをしめる「チラーヂンS」(商品名)を製造している、
唯一の工場であるいわき工場(福島県)が被災し、福島原発事故との関係もあって、
3月11日から製造を停止しています。

 病院や薬局に保管されている薬剤の量は、調べることは出来ませんが、
あすか製薬自体が確保している在庫は約1カ月分程度、とされており、
それに対して、現状では、あすか製薬からの供給再開のめどが4月中旬となっています。

 国内シェア2%の会社である、サンド株式会社は、もともと、スイスから原料を、
中国経由で輸入し、山形県の工場で製品としていたそうで、そこは一時操業停止して
いたものの、現在では通常の操業に戻っているそうです。
 サンド株式会社の親会社はノバルティスグループといって、世界最大規模の
製薬会社であり、そこからの緊急輸入も厚労省と調整して検討中と聞いています。

 従来、成人ではチラーヂンSの3カ月処方がまれでなく、また最も優先される
べき新生児、乳幼児、妊婦の必要量は、生産量の2~3%以下と推計され、
成人の長期処方の自粛などを行うことで、供給再開が期待される4月中旬まで、
小児への処方は十分確保されるものと考えられています。

 甲状腺疾患に関連する5つの専門医団体は、レボチロキシンナトリウム安定供給
対策委員会(略称:T4委員会)を結成し、製薬会社、厚労省との窓口とすることで、
情報収集を一本化し、医療機関や患者、家族の皆様への情報提供を正確に行う
体制をつくりました。

 そのT4委員会からの情報を、必要に応じて、これからも提供していきますので
ご安心ください。心配なことがありましたら、いつでも相談メールでお問い合わせください。


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