フェニルケトン尿症講座 病気の説明〜上級編〜

上級編

血中濃度が低く推移しすぎると、逆に高くなることがあると聞きましたが本当ですか?

本当です。フェニルアラニンは健康の維持に大切な物質で、その血中濃度は低ければ低いほど良いという訳ではありません。フェニルアラニンの血中濃度が低すぎると、私たちの体は、筋肉などの蛋白質を分解し、フェニルアラニン濃度を高くしようとします。その結果、血中フェニルアラニン濃度が上昇してしまいます。従って、血中フェニルアラニン濃度は低くすればいいのではなく、目標の濃度範囲に収まっている事が重要です。


治療を怠った場合、どのような症状があらわれますか?
また、どれ位の数値になった場合に現れますか?

典型的な患者さん(古典型フェニルケトン尿症(PKU))の場合、治療を中断すると血中フェニルアラニン濃度が20~40 mg/dlという高い値を示すようになります。そうすると、集中できなくなる、頭がぼーっととする、やる気がでなくなる、などの症状が現れることがあります。


治療用ミルクはいつまで飲めばいいですか?

基本的に生涯に渡り食事療法が必要になります。
成人になると維持すべき血中フェニルアラニン濃度は小児期に比べて高くなり、食べられる食品も多くなります。しかしながら、大部分のフェニルケトン尿症(PKU)患者さんの場合、食事制限が全く必要なくなることはありません。成人になって食事療法を中断した場合、無気力や活動性低下などのうつ病に似た症状、頭痛、多動、などの症状が出てくることが分かっています。従って、治療の二つの基本である、①低たんぱく食、②フェニルアラニン以外のアミノ酸の供給、が生涯必要になります。②は治療用ミルクが基本となるので、多くの患者さんは成人になっても治療用ミルクを使用しています。治療用ミルク以外で②の目的を達する方法として、フェニルアラニン無添加アミノ酸粉末があります。これを他の食品や料理に混ぜて摂取します。アミノ酸末には特有の味や臭いが有るので、これらを抑えた低フェニルアラニン・ペプチド粉末もあります。アミノ酸末の場合、フェニルアラニン含量は0ですが、ペプチド粉末の場合、僅かながらフェニルアラニンが含まれます。


最新(今後)のPKUの治療情報

今まで血中フェニルアラニン濃度を下げる飲み薬はありませんでした。ところが最近、有効な薬が見つかりました。薬の名前は、テトラヒドロビオプテリン(BH4と略称されます)といいます。このBH4というお薬が効く患者さんのほとんどは、食事療法を行っていない時(新生児スクリーニングで見つかった時)の血中フェニルアラニン濃度が比較的低い、つまり軽症の患者さんが大部分であることが分かっています。全体としてこの病気の約30%の患者さんでBH4が有効と考えられています。BH4は、体内のフェニルアラニンを代謝する酵素の働きを強くするために、血中フェニルアラニン濃度が低下すると考えられています。実際にBH4が効くのかどうかは、BH4を服用した時、血中フェニルアラニン濃度が低下するかどうかを試す検査(BH4負荷試験)を行って判断します。詳しくは、主治医にご相談ください。


成長は他のお子さんと同じですか?

適切に治療されている場合、成長は他のお子さんとまったく変わりありません。

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