甲状腺被曝、最高87ミリシーベルト 50ミリ超も5人(朝日新聞3月9日)

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2012年03月09日(Fri) 14:02 by drharasho

福島第一原発事故後の放射性ヨウ素による住民の実際の
被ばくデータは、ほとんど報告されてきませんでした。
・・・4月17日の広島大学田代教授の報告のみ。

事故1か月後に、弘前大学チームが少人数ながら、
詳細な調査をしていたことが朝日新聞で報道されました。

東日本大震災(津波)が発生してから、もう1年も経つのに、
この程度のデータしか出てこない、というのは、
チェルノブイリ事故後の旧ソビエト連邦の「情報制限」より
よほど酷いといえます。

多くの国民の信頼を失って当然でしょう。

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甲状腺被曝、最高87ミリシーベルト 50ミリ超も5人
http://www.asahi.com/national/update/0309/TKY201203090004.html

2012年3月9日03時00分

 東京電力福島第一原発事故で、放射性ヨウ素によって甲状腺に90ミリ
シーベルト近い被曝(ひばく)をしていた人がいることが分かった。弘前
大学被ばく医療総合研究所の床次眞司(とこなみ・しんじ)教授らが、事
故の約1カ月後に行った住民65人の測定結果を分析した。被曝した人の
約半数が10ミリシーベルト以下だったが、5人が50ミリシーベルトを
超えていた。

 甲状腺被曝はがんのリスクがあるが、ヨウ素は半減期が短く、事故直後
の混乱などで、きちんとした計測はされておらず、詳しい実態は分かって
いなかった。

 床次さんらは昨年4月11~16日、原発のある福島県浜通り地区から
福島市に避難してきた48人と、原発から30キロ圏周辺の浪江町津島地
区に残っていた住民17人を対象に、甲状腺内の放射性ヨウ素の濃度を調
べた。この結果、8割近い50人からヨウ素が検出された。

 この実測値から、甲状腺の内部被曝線量を計算した。事故直後の3月
12日にヨウ素を吸い込み、被曝したという条件で計算すると、34人は
20ミリシーベルト以下で、5人が、健康影響の予防策をとる国際的な目
安の50ミリシーベルトを超えていた。



 最高は87ミリシーベルトで、事故後、浪江町に残っていた成人だった。
2番目に高かったのは77ミリシーベルトの成人で、福島市への避難前に
同町津島地区に2週間以上滞在していた。子どもの最高は47ミリシーベ
ルト。詳しい行動は不明だ。


 国が昨年3月下旬、いわき市、川俣町、飯舘村の子ども1080人に行
った測定では、35ミリシーベルトが最高値と公表されていた。

 乳幼児はもともと甲状腺へのヨウ素の吸収が活発で、被曝線量は成人よ
りも高くなる傾向がある。

 床次さんは「ヨウ素濃度の高い地区に乳幼児がいれば、100ミリシー
ベルトを超えていた可能性もある。行政は、子どもの健康を守る立場から
手厚く支援策をとる必要がある」という。

 調査チームは住民に検査直後に速報値を伝えたほか、近く、詳細な分析
結果を改めて伝える予定だ。

 国の指針では、甲状腺被曝による健康への影響を防ぐため、安定ヨウ素
剤を飲む目安は100ミリシーベルト。50ミリシーベルト以上で、甲状
腺がんリスクが上がるというチェルノブイリの調査の報告があり、国際原
子力機関が50ミリシーベルトに下げたのを受け、国も近く、下げる見通
しだ。

 子どもを中心に約6千人が甲状腺がんになったチェルノブイリ原発事故
では、避難民の甲状腺被曝線量は平均490ミリシーベルトと国連は報告
している。(大岩ゆり)

    ◇

 〈甲状腺被曝(ひばく)〉 甲状腺の局所的な内部被曝。甲状腺はのど
仏の下にあり、ヨウ素を取り込む性質がある。被曝線量は全身と同じく、
成人は50年間、子どもは70歳までの総量で出す。全身被曝と単純比較
はできないが、同じ値なら健康影響は小さいとされている。

 国の指針では、甲状腺被曝の影響を防ぐ安定ヨウ素剤を飲む目安は
100ミリシーベルト。ただし、チェルノブイリで50ミリシーベルト以
上で甲状腺がんのリスクが上がるとの報告があり、国際原子力機関は50
ミリシーベルトに下げた。国も近く下げる見通しだ。

■甲状腺がん、成人もリスク

 東京電力福島第一原発事故による住民の甲状腺被曝(ひばく)の実態は
よくわかっていなかった。弘前大の調査チームが事故後1カ月に行ってい
た住民65人の調査で、その一端が分かった。専門家は、さらに実態を調
べ、住民の健康への影響を見守る必要があると指摘している。

 弘前大の調査チームは、住民1人につき5分かけて計測し、甲状腺被曝
の詳細な線量を算出した。国が昨年3月下旬に実施した子ども1080人
への調査は、簡易な計測器で、測る時間も短く、正確な被曝線量を測るに
は限界もあった。

 「半減期が2時間と短いヨウ素132などは考慮されていないが、弘前
大の調査は、国の調査よりは詳しい実測データに基づいている点が評価が
できる」と広島大原爆放射線医科学研究所の細井義夫教授は言う。



 弘前大の調査では、放射線量が高かった地区に2週間以上滞在した人で
も、約6千人の甲状腺がんが報告されたチェルノブイリの避難民の平均値
の数分の1程度だった。ただし、一部住民では、甲状腺がんの発生リスク
が多少、高まる可能性も否定できない。

 国の緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)では、福島県
浪江町方向などに大量の放射性物質が飛散しており、甲状腺に100ミリ
シーベルト以上被曝した住民がいた可能性も指摘されてきた。

 子どもは甲状腺被曝の影響を受けやすいため、福島県は、事故当時18
歳以下の36万人を対象に生涯、甲状腺検査を行う。細井さんは「最近の
チェルノブイリの疫学調査では、40歳以上でも被曝により甲状腺がんの
リスクが高まるという報告も出ている。成人への検査も検討が必要だ」と
言う。

 甲状腺がんの発生は、被曝から5年以上たってからが多い。大半は進行
が遅く、治療成績もいい。診断10年後の生存率は95%で、チェルノブ
イリでも亡くなったのは十数人だ。

 それでも、将来的に健康影響を調べていくには課題も山積している。国
が調査した1080人の子どもの保護者には、個人個人の健康リスクがわ
かる「シーベルト」を単位にした線量ではなく、検査の生データしか知ら
されていない。

 このため政府は新年度から、福島県周辺の地区ごとの住民の甲状腺被曝
の線量傾向を把握できるようにするプロジェクトを始める。

 弘前大のように、放射性ヨウ素が消える前に甲状腺調査をした研究者を
探し出し、データの提供を依頼する。空間や土壌などの様々な環境モニタ
リングや放射性物質の放出データなども集める。そこから、甲状腺の被曝
線量を推計する。

 鈴木元・国際医療福祉大クリニック院長は「今回の調査も含め部分的な
データが色々と出てきており、被曝の実態を評価し直すことが必要だ。
来なら事故直後に精度の高い甲状腺被曝の検査をすべきだった。それがで
きなかった一因は、あいまいな国の責任体制にあった。検査体制も見直す
必要がある」という。
(大岩ゆり)

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青森県内のNHKニュース

甲状線被ばく量調査結果

(リンク切れ)www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/6083594531.html

東京電力福島第一原発の事故のあと、青森県の弘前大学の
研究チームが福島県内の住民65人の甲状腺を調べたとこ
ろ、およそ80%の人から放射性ヨウ素が検出されたほか、
甲状腺への被ばく量は最も多い人で87ミリシーベルトだ
ったことがわかりました。

弘前大学被ばく医療総合研究所の床次眞司教授の研究チー
は、去年4月、福島県浪江町の住民や、福島県浜通りか
ら福島市内に避難していたあわせて65人を対象に甲状腺
への被ばく量を調べる検査を行いました。
その結果、およそ80%にあたる50人から放射性ヨウ素
が検出されたということです。

また、このうち5人が健康への影響を考慮し、予防策をと
る必要があるとされる国際的な目安の50ミリシーベルト
を超えていたことがわかりました。


甲状腺への被ばく量が最も高かったのは、原発事故のあと
も浪江町津島地区で2週間以上生活していた成人で、87
ミリシーベルトでした。

研究チームでは、今後、検査を行った住民に対し、結果を
報告することにしています。

今回の検査結果について、弘前大学被ばく医療総合研究所
の床次眞司教授が記者会見し「東京電力福島第一原発の事
故では放射性ヨウ素の被ばく状況がよく分かっていなかっ
たが、今回の検査で実態の一部が見えてきた」と述べまし
た。床次教授によりますと、今回の検査では、放射線量が
高い福島県浪江町などにいた人でも、甲状腺への被ばく量
はチェルノブイリ原発事故の避難者の数分の1から10分
の1にとどまっていることが確認され、事故の規模からす
ると住民の被ばくの程度は低いとしています。

その一方で床次教授は、潜在的なリスクを抱えた住民もい
ると考えられるとして「放射線量が高めに出ている人を特
定して、しっかりとケアしていく必要性がある」と述べ、
行政が主体となって住民の健康調査を継続的に行うべきだ
という考えを強調しました。

03月09日 12時46分


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