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必要なのは、日本版ACIP(JCIP)!4

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2009年11月22日(Sun) 11:18

▽ 必要なのは、日本版ACIP(JCIP)!4 ▽ 日本の予防接種をよくする ために 岩田健太郎 神戸大学病院感染症内科 2009年11月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp そのほか、気がついたこと 何度か「懸念」「おそらく」という議論がされたとき、ベイカー 議長が、 「ACIPの推奨はエビデンスベイスドで行う」と繰り返して いたのが印象的でし た。懸念だけでは、意思決定はしないと明言していた のが印象的でした。 推奨は明快に誤解の無いように、判断に困らないように、現場の裁量で いか ようにもとれるような文章は避けた方がよい、というコメントもされ ていまし た。その理由は、アメリカでは多くの場合予防接種はナースの仕 事であること。 ナースは(医師より)ルールを厳密に守ること、からだそ うです。羨ましくも あり、耳が痛くもあります。 予防接種後のHPVワクチンの意識消失発作の議論もありました。接種 後15 分間の観察期間を置くべきか?15分とはどういう科学的 根拠か?実際にそんな ことできるのか?列を作っている俺のクリニックで は、待つ場所なんてない、、 など多くの議論がなされました。こういうこ とは、現場でやっている人でない と分からない。ACIPのメンバーの 多くが実際に外来で診療をしている臨床医な のにこのとき気がつきまし た。現場の構造が分からなければ、予防接種のルー ルは作り得ない。その ことを確認したときでした。 添付文書とACIP推奨について ACIPは承認された予防接種を扱うので、その推奨がでるときには すでにワク チンの添付文書はできあがっています。では、ACIPの推 奨と添付文書に齟齬が あるときはどうするのか? こういう質問を参加者の一人にしたら、それは気にしなくてよいのだ、 とい うことでした。添付文書は添付文書、ACIPはACIP。基本 的には現場の医師が最 終的には適応や禁忌といったメッセージを勘案して 決めるので、添付文書にな いことをACIPが推奨するのは全然かまわ ないのだそうです。 日本では医薬品の添付文書が「聖典」と化している問題があります。本来、添 付文書は医薬品の取り扱いに関する薬事法に基づく公文書で、医師 が添付文書 通りに診療し、医薬品を用いなければいけない義務はありませ ん。また、55年 通知にもあるように、本来医学的に妥当なプラク ティスであれば添付文書通り に診療しなくても診療報酬は認められるはず なのです。 http://watanabe-oncology.spaces.live.com/blog/cns!313416DBEE1FE6B5!253.entry しかし、このことを知らない医師、そして国保・社保の審査員は多い し、ま た知っていてもあえて無視する者も多いです。我々は医療のプロで すから、本 来医学的に妥当である最新のデータに基づいて医療を提供すべ きであるし、ま た医療制度、医療保険もこれを後押ししなくてはなりませ ん。 予防接種についても同様で、日本版ACIPを作る場合にはこの添付 文書の問題 を明確にし、推奨の遂行に問題が生じないようにしなくてはな りません。 また、厚労省やPMDAも添付文書が事実上「聖典」と化している日本 の現 実をきちんと直視し、「そんなことは我々は言っていない」と 「言い訳」をす るのではなく、「添付文書とはそもそもこういう ものだ。医師は必ずしも添付 文書通りに診療する必要はない」と明記、明 言すべきです。長妻厚労大臣には ぜひ明言して欲しい。 結語 やはり見ると聞くとは大違いで、実際に参加・観察してみてどのように AC IPが構成されているかがよく分かりました。 議論の内容は、実のところ結構基本的で、日本の専門家集団でもこのく らい の質の議論はできると思います(臨床的なアウトカムなどEBMのと ころが日 本は弱いですが、アメリカに全く近づけないほどでもないでしょ う)。ヒュー マンリソース的には15人とリエゾンからなるACIP の構成は可能です。ワクチン 学会と小児科学会だけに任せるのではなく、 化学療法学会、感染症学会、臨床 微生物学会、環境感染学会など感染症関 連学会、今度統合されるプライマリ・ ケア関連学会、内科学会、感染症情 報センター、PMDAなど多くのプレイヤーを リエゾンさせて構成させ ることが大事でしょう。問題は委員そのものではなく、 運用の方ですね。 人手の足りない厚労省にこれをやらせるのは無理でしょうし、 また、そう するべきではないでしょう。厚労相に任せると、厚労省が最終決定 機関に なってしまう恐れがあり、それでは今と同じだからです。国立感染症研 究 所感染症情報センターなどがこの任には適切だと思います。 日本では、関連学会の協力はまだまだ不十分です。今まで社会的なコ ミット メントはほとんどなかった化学療法学会と感染症学会ですが、最近 臨床医への セミナーを開いたり新型インフルエンザ診療ガイドラインを 作ったり、ずいぶ んと進歩しています。でも、こないだある幹部クラスと 話をしていたら、その 先生はプライマリ・ケア系の学会の存在すらご存じ ありませんでした。多くの 感染症はプライマリケア医に診療されているの に、です。この辺のディスコミュ ニケーションが日本の大きな問題でしょ う。 ------------------------------------------------------------------------------ 今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いた だけましたら幸いです。


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