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序文_放射性ヨウ素への被ばくに対し安定ヨウ素剤(ヨウ化カリウム)を予防内服した妊婦か ら出生した児および同じく小児の管理指針-初期管理編-

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2011年04月01日(Fri) 09:10

「放射性ヨウ素への被ばくに対し安定ヨウ素剤(ヨウ化カリウム)を予防内服した妊婦か
ら出生した児および同じく小児の管理指針-初期管理編-
(第1 版)(2011 年3 月31日公開)について」
序文

http://jspe.umin.jp/shinsai.htm


2011 年3 月31 日

 2011 年3 月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震に関連した福島第一原子力発電所の
事故により放射性ヨウ素が環境中に放出され、現在その拡散が比較的遠隔地の水道水にま
で及び乳児の水道水摂取について注意喚起がなされた地域もあります。こうした中で、医
学的な必要性から妊婦、新生児、小児を対象として安定ヨウ素剤を服用すべき対象が発生
することもありうる情勢です。

 胎児、新生児、乳幼児は放射性ヨウ素の内部被ばくによる甲状腺がんの発生確率が成人
に比べて高いことから安定ヨウ素剤の優先服用者とされています。こうしたヨウ素過剰摂
取による一時的な甲状腺機能低下症によって神経発達に影響があるかどうかの信頼できる
成績はこれまで示されていませんが、「安定ヨウ素剤を服用した新生児については、甲状腺
機能低下症を発症することがあるので、その早期発見・治療のために、甲状腺機能をモニ
ターする必要がある。」、「安定ヨウ素剤を服用した妊娠後期の妊婦より生まれた新生児につ
いては、その甲状腺機能をモニターする必要がある。」と「安定ヨウ素剤取扱いマニュアル」
(財団法人原子力安全研究協会編平成15 年3 月版40 ページ)でも述べられています。

 しかしながら、その甲状腺機能モニターの方法についての具体的指針がないことから、日
本小児内分泌学会の震災対策プロジェクトとして緊急発足した「東北地方太平洋沖地震に
関わる小児甲状腺疾患診療プロジェクトチーム(震災小児甲状腺PT)」では管理指針を作
成することとしました。この管理指針は第1版であり、必要な改訂を行う予定です。

 本管理指針では震災下において医療資源が十分でない状況下で多数の対象者が安定ヨウ
素剤を服用する可能性に鑑み、小児内分泌専門医ではない医師がこれを利用して初期管理
を行うことを意識して作成しました。また、被災した管理対象者の負担軽減にも配慮しま
した。従って、現時点で医学的エビデンスのない部分についても専門家のコンセンサスと
してまとめたことをご了解いただければと思います。

 別紙として作成した「管理票」(PDF)は、安定ヨウ素剤を投与された対象者の管理医療機関の
引き継ぎに役立つだけでなく、最終的には対象者の管理依頼とともに専門医に引き継がれ
ることを想定し、必要な項目を簡便に記載できるよう配慮しました。また、この管理票は
本管理指針の妥当性検討にも将来有用になると考えられますので、そうした場合には可能
な限りご協力をお願いしたいと思います。

日本小児内分泌学会「東北地方太平洋沖地震に関わる小児甲状腺疾患診療プロジェクトチ
ーム(震災小児甲状腺PT)」プロジェクトリーダー皆川真規


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