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小児内分泌専門家の医師(聖徳大学児童学部児童学科教授 原田正平先生)のコラムや、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)をはじめ小児科関連に関する情報やサービスを掲載します。

先天性甲状腺機能低下症の適切な治療について

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2009年07月28日(Tue) 00:50 by drharasho

メール相談を頂く中で、比較的多い相談内容が、レボチロキシン(チラーヂンS)の投与量に関するものです。 体重あたりの標準的な治療量は、以下の論文の632ページに載せているのですが、 「先天性甲状腺機能低下症」 必ずしも標準的な治療がなされている訳ではないようですので、 標準的な治療をするための基本的な考え方を改めて書いてみます。 レボチロキシンは血中の半減期が約7日間とも言われ、 投与量を変更した場合、甲状腺機能が安定するまで3~4週間かかりますから、 数日単位で血液検査をすることは実際的ではありません。 また潜在性甲状腺機能低下症の考え方が、 なかなか普及しないためか、 TSH値が4~5以上であっても、 FT4が基準範囲にあるから、ということで、 「甲状腺機能は正常」と判断されることもあるようです。 しかし、様々な論文などの結果を総合して判断すると、 治療中の適切な血清TSH値は1~2mIU/L、 FT4は基準範囲の上半分(年齢により違いますが、 1.5~2.0 ng/dl程度)となります。 その理由は以下となります。 TSHの値は、脳内のFT4の濃度を反映しています。 血液中のFT4は、そのままでは脳内に入ることができませんので、 血液中のFT4濃度は、脳内のFT4濃度とは一致していません。 脳の発達に必要なものは、脳内のFT4であり、 血液中のFT4ではありません。 脳内で十分なFT4濃度が保たれることが、 脳の発達には必要だと考えています。 脳内のFT4が十分であると、 TSHは1~2程度に保たれます。 TSHが0.5未満では脳内のFT4が多すぎ、 TSHが4~5以上が続くようだと、 脳内のFT4が少し足りないと考えられます。 お子さんのレボチロキシンは適切な量となっているでしょうか。 今一度、担当医と相談してみてください。


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