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小児内分泌専門家の医師(聖徳大学児童学部児童学科教授 原田正平先生)のコラムや、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)をはじめ小児科関連に関する情報やサービスを掲載します。

9月1日の文部科学大臣からのメッセージ(「新型インフルエンザ」について)

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2009年09月10日(Thu) 11:15 by drharasho

9月1日に文部科学大臣は次のようなメッセージを発表しました。 このような、「かぜをひいたと思ったら、すぐ医療機関へ」という誤ったメッセージは、 むしろ新型インフルエンザの感染爆発を引き起こす元と考えられます。 ============================ 子どもたちへ 日本全国(にほんぜんこく)で「新型(しんがた)インフルエンザ」がはやっています。 新型(しんがた)インフルエンザは、うつりやすいといわれています。新型(しんがた)インフルエンザにかからないようにするため、外(そと)から帰(かえ)ったら、必(かなら)ず、うがいと手洗(てあら)いをしっかりしましょう。 せきやくしゃみが出(で)るときは、ティッシュなどで口(くち)とはなをおおい、ほかの人(ひと)から顔(かお)をそむけ、できるかぎりはなれてください。このことをせきエチケットといい、かぜやインフルエンザがうつることをふせぎます。 せきや熱(ねつ)が出(で)るなど、かぜやインフルエンザにかかったかなと思(おも)ったら、すぐにお医者(いしゃ)さんに行(い)ってください。かかったことがわかった場合(ばあい)は、ほかの人(ひと)にうつさないようにするため、マスクをつけたり、せきエチケットをしてください。 また、学校(がっこう)は休(やす)んで、外(そと)には出(で)かけないようにしてください。 みなさん一人(ひとり)ひとりがしっかりとうがいや手洗(てあら)いなどをすることが、とても大切(たいせつ)です。おうちの人(ひと)や先生(せんせい)の言(い)うことをよく聞(き)いて、しっかりとやってください。 平成二十一年九月一日 文部科学大臣 塩谷 立 ============================ 保護者、学校の教職員のみなさんへ 日本全国で「新型インフルエンザ」が流行しています。 子どもたちには、新型インフルエンザにかからないようにするため、外から帰ったら、必ず、うがいと手洗いをしっかりするよう、指導してください。 学校や家庭におかれては、子どもたちの健康観察を行い、子どもたちの健康管理に気を配ってください。 子どもたちにかぜやインフルエンザの疑いがあるときは、すぐに医師にかかるよう指導してください。特に、慢性呼吸器疾患や慢性心疾患等の基礎疾患がある子どもたちに対しては、早期受診、早期治療を指導してください。また、症状が出た場合は、咳エチケットの励行、マスクの着用、外出の自粛を指導してください。 国や地方公共団体が発表する正確な情報に基づき、冷静な対応をお願いします。 平成二十一年九月一日 文部科学大臣 塩谷 立 ============================ 以下は、私の意見です。 「子どもたちにかぜやインフルエンザの疑いがあるときは、 すぐに医師にかかるよう指導してください。」 という指導が行われています。 子どもたちは、新型インフルエンザそのものと限らず、 ウイルス性の感染症により簡単に熱を出し、 いわゆる「かぜ」の症状を示します。 現在、たしかに新型インフルエンザが流行し、 突然の発熱といった症状を示すお子さんの中で、 新型インフルエンザであるお子さんも多いことは事実ですが、 実際に、かぜやインフルエンザの疑いで、 医療機関を受診するお子さんの大部分は、 新型インフルエンザではありません。 現に、国立成育医療センターの救急外来での インフルエンザの簡易検査での陽性率は、 20~30%程度で、もちろん検査もしないお子さんも それ以上にいるわけです。 そこにさらに、「すぐに医師にかかるよう指導してください」と 文部科学大臣が指導したらどうなるでしょう。 大臣の指示は、命令となって、学校現場に伝えられます。 そうすると今以上に、新型インフルエンザではないお子さんが、 必要もないのに医療機関に受診します。 そしてそこには、本当の新型インフルエンザの患者さんも、 少ないながらいます。 理性的に考えればわかることですが、 今の現状は、人為的に新型インフルエンザの 流行を作り出しているといえないでしょうか。 「医原性疾患」という言い方がありますが、 これでは「大臣原性」あるいは「文科省原性」の パンデミックのようなものです。 学校が始まってから、新型インフルエンザの集団感染が、 倍増したと報告されていますが、 今のような「かぜと思ったらすぐ医療機関へ」という 誤った指導による、「文科省原性集団感染」が その何割かを占めているように思われてなりません。 科学的根拠にもとづいた、 適切な対応をお願いしたいと考えます。


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