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小児内分泌専門家の医師(聖徳大学児童学部児童学科教授 原田正平先生)のコラムや、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)をはじめ小児科関連に関する情報やサービスを掲載します。

たばこの害から若者を守ろう

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2010年05月13日(Thu) 17:07 by drharasho

成育すこやかジャーナル     No.65(2008/5/15)●たばこの害から若者を守ろう                          成育医療政策科学研究室長
                  総合診療部成人期診療科禁煙外来担当  原田 正平 
 TOBACCO‐FREE YOUTH (たばこの害から若者を守ろう)、これが今年の世界禁煙デー
のスローガンです。
1988年にWHO(世界保健機関)が5月31日を世界禁煙デーと定め、タバコの危険性、
WHOがタバコ病(Tobacco-related disease)の流行を防ぐために何をしているか などの
広報活動をしています。
今年のサブスローガンは BAN ALL TOBACCO ADVERTISING, PR OMOTION AND SPONSORSHIP
(全てのタバコ広告、販売促進、後援の禁止)となっています。

  日本では1900年から未成年者喫煙禁止法が施行され、喫煙は20歳を過ぎてからしか許され
ていないはずですが、 実態としてほとんどの喫煙者は未成年時期から吸い始めています。
2004年の全国調査でも高校3年生の男子の喫煙経験率は42.0%、女子でも27.0%であり、
その多くが喫煙常習者 となってしまいます。

 タバコの害が広く知られ、学校教育でも「防煙教育(未成年時期の喫煙開始を防ぐための
教育)」が行われているにも関わらず、若者の喫煙率がこれほど高い理由は、日本がタバコ
を吸いやすい環境にあることと、若者ほどニコチン依存症に早くなってしまうからです。カ
ナダでの研究(Tobacco Control 2002;11:228)では、12~13歳から喫煙した場合、ニコチ
ン依存(禁煙に失敗、止められずに吸っている、依存を感じる、渇望感、タバコが欲しい等
)の症状が50%の人に現れるまでの期間は、男子で183日、女子ではなんと21日と報告され
ています。日本ではこのような研究はありませんが、子どものための禁煙外来(卒煙外来)
をされている先生たちの経験から、ほぼ同じだろうと考えられています。

 タバコを吸いやすい環境の一つとして、日本でのタバコ自動販売機の多さが上げられます
。最近の統計では多少減少していますが、それでも全国50万台以上あるとされています。そ
こで未成年者の喫煙防止対策の一環として、2008年3月から「成人識別ICカード(通称、ta
spo:タスポ)」が導入されました。鹿児島県、宮崎県から始められ、7月からは全国のほと
んどで「成人識別たばこ自動販売機」となる予定です。

 世界では、未成年者とは限らず全ての喫煙者を減らすために、様々なタバコ規制が進めら
れています。日本でも神奈川県が「公共的施設における禁煙条例(仮称)」の制定に向けた
準備をしています。こうしたタバコ規制は、2005年2月に発効した「たばこの規制に関する
世界保健機関枠組条約」に対応して、世界各国が自国内の法律を整備することで実現にむか
っています。あらゆる年齢層の方たちがタバコを止めやすい環境を作るためにも、日本でも
法律による「全てのタバコ広告、販売促進、後援の禁止」が望まれます。

自己紹介:「子どもをタバコの害から守る小児科医」を自称しています。       
     4年前に北海道から東京にでてきた「純粋な」道産子ですので、まだまだこちら
     の暑さには順応できていません。 
趣  味:これといって趣味らしい趣味はありませんが、どこに行っても「受動喫煙防止対 
     策」の有無に目がいき、「禁煙マーク」の写真を撮ってしまうのが趣味? かも
     しれません。


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