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小児内分泌専門家の医師(聖徳大学児童学部児童学科教授 原田正平先生)のコラムや、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)をはじめ小児科関連に関する情報やサービスを掲載します。

サードハンドスモークを知っていますか?

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2010年05月13日(Thu) 17:10 by drharasho

成育すこやかジャーナル     No.77(2009/5/14)

●サードハンドスモークを知っていますか?

   成育医療政策科学研究室長(総合診療部成人期診療科禁煙外来担当) 原田 正平


 サードハンドスモークという耳慣れない言葉を多くの人に知って頂き、子どもをタバコ の害から守りたいと考
えています。

 私たちが子どもをタバコの害から守る活動をしている時に一番残念なことは、皆さんが タバコ
の健康被害をとても小さく考えてしまうことです。「タバコの煙には約4,000 種類の化学物質が含まれ、
そのうち200種類は明らかに有害であり、50~60種類は 発がん性を持っています」と説明しても、たぶん
「たかが煙の中の微量な成分で、少し時 間がたつとどこかに行ってしまう」と考えられて、その危険性は切実
ではないのかもしれ ません。

 受動喫煙の害が健康増進法第25条(2003年5月施行)により広く知られ るように なっても、例えば
JR駅のホーム上には喫煙者へのサービスとして灰皿が設置され、そばを通った 子どもや妊婦、胎児への
健康被害や、停車したときに「禁煙車両」に流れ込むタ バコ煙の害は無視された形 となっています。
今年になり、首都圏や京阪神のホーム上の灰 皿は大部分の駅から撤去されました(予定も 含む)が、
JR東海は新幹線ホーム上には残 すと宣言しています。

 喫煙者が吸う煙をFirst-hand smoke、 受動喫煙を起こす煙をSecond-hand smoke(セカ ンドハンドスモーク)
というのに対し、タバコの煙を消した後にも残る「残留タバコ成分」 の意味でThird-hand smoke
(サードハンドスモーク)という言葉を、米国ボストン小児病 院の先生たちが使い始めました
(Pediatrics 2009; 123;e74-e79 )。この概念は、日本で はまだあまり 知られていませんが、厚生労働省が
この3月に「受動喫煙防止対策のあり方 に関する検討会報告書」
(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/03/s0324-7.html) を公表し、その中で「残留タバコ成分」という新しい
概念として紹介していますので、 「残留受動喫煙」といった日本語訳が広まっていくことが期待されます。

 サードハンドスモークというと何か難しそうな意味があるように思われますが、禁煙タ クシーが広まるまでは、
ほとんどのタクシー車内でいつもその健康被害を受けていたと言 えば、皆さんも思い当たることでしょう。そして、
禁煙タクシーの導入前後の快適さの、 あまりの差に驚かれたのではないでしょうか。しかし、考えてみて下さい。
子どもが乗っ ている車内での喫煙の害は言うまでもないことですが、今、子どもが乗っていなくても、 喫煙後の
車に子どもたちを乗せることは、サードハンドスモークによる健康被害を与える ことなのです。そう考えてみると、
子育て中のご家族や周囲の方々のとるべき道は一つし かありませんね。「禁煙は愛」と言われます。

このジャーナルを読まれたその瞬間から、 お一人でも、タバコから逃れたいと思い禁煙を始めて頂けたら幸いです。
あるいは禁煙外 来(毎週月曜日午後2~5時)の予約を入れてみて下さい
(詳細はHPで: http://www.ncchd.go.jp/hospital/section/general/seijinki.html)。

自己紹介:
東京に5年前に でてきた「道産子(どさんこ)」です。毎年東京の空気のタバ コ臭が少なくなっていく
ことを嬉しく思っていますが、 未だに国立成育医療センターの敷 地内で見かける吸い殻や、バス停のあたりで
吸っている入院患者さんのお父さんの姿に悲 しい思いをしています。

一日も早く「子どもをタバコの害から守る小児科医」を自称しな くて 良い日が来て欲しいものです。


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