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小児内分泌専門家の医師(聖徳大学児童学部児童学科教授 原田正平先生)のコラムや、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)をはじめ小児科関連に関する情報やサービスを掲載します。

被災地以外でのテレビ情報の扱いかた_とくに子どものために

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2011年03月19日(Sat) 13:42 by drharasho

◎震災映像一緒に見ないで 小児科医会の保科清会長

   日本小児科医会会長の保科清さん

 東日本大震災による被害と混乱が広がる中、被災地から遠く離れた地域でも、
ニュースで繰り返し流れる震災映像などが子どもの心に与える影響が懸念され
ている。日本小児科医会の保科清会長に聞いた。

―震災の映像などによって懸念される子どもの心への影響は

 「米国の同時多発テロの際、ビルに飛行機が衝突する瞬間の映像が繰り返し
テレビで流され、それを見た子どもたちに心的外傷後ストレス障害(PTSD)
の症状が出た。その時の反省が今回忘れられていないだろうか。もちろん、震
災の惨状を伝えることは必要だが、津波で多くの家が破壊される映像を繰り返
し流す放送局が目立つ。十分に事態が理解できない子どもが、映像から直接受
ける影響は大きい。学校や幼稚園が休みになって、家でずっとテレビを見てい
る子どもも多いので注意してほしい」

―実際に影響は出ているのか

 「都内の小児科を受診する患者の間で『子どもが登校を嫌がる』『夜泣きが
増えた』といった話が目立ち始めている。腹痛を訴えて受診した中学1年の女
子児童の場合は、よく話をきいてみると、テレビで震災の映像を見ているうち
に、自分の身にも起きるように感じて不安になったことが分かった。地震発生
時、自分の近くに物が落ちてきたようで、その時の恐怖が、映像を見たことで
増幅されたのだと思う」

―周りの大人が注意すべき点は

 「震災のニュースはできるだけ子どもと一緒に見ないようにするのが一番

が、情報を得るためにやむをえない場合は、話をしながら見ること。子どもに、
ここは安全であることを伝えながら、災害時の避難経路などの注意点を確認す
るといい。原発の事故を受けて、小児科に放射性物質による健康被害を防止す
るヨウ素剤の処方を求める保護者も増えているが、現時点で東京都内では必要
ない。
大人がこわがると子どもはますます不安になる。冷静に行動し、余震で
揺れている時にも、子どもには『大丈夫』と言ってあげてほしい」

―子どもの変化に気づいた場合の対処は

 「話をきいてやることが大切。赤ちゃん返りしたり、学校や幼稚園に行きた
がらなかったりしても、身近な大人がじっくり見守れば徐々に落ち着いていく。
長く続く場合は、小児科医やスクールカウンセラーなどの専門家に相談を」

―被災地の避難所で暮らす子どもたちのケアは

 「肉親や家を失っている子どもも多く、心に大きな傷を負っているはず。
自分が体験したことを繰り返し話すような場合は、遮らないで、じっくり聞い
てあげることが必要だ。現在の救援は、物資の輸送で精一杯だが、今後は、
子どもの心のケアにあたるスクールカウンセラーや保育士の派遣も必要に
なってくると思う」


保科清(ほしな・きよし)さん の略歴

 1941年生まれ。東邦大学医学部卒。東京逓信病院小児科部長、東京女子
医大客員教授を経て、2005年から山王病院小児科上席部長。
06年から日本小児科医会会長。


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