FCTC順守を求める  沖縄大学教授・医師 山代寛

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2012年02月26日(Sun) 00:17 by drharasho

FCTC順守を求める  沖縄大学教授・医師 山代寛
2012.2.17 琉球新報・論壇

 大学教官、かつ医師として、喫煙対策、禁煙治療に取り組んでいるが、
喫煙者自身が一番のタバコの被害者だということを痛感する。多くは未
成年のうちにタバコの真実を知らされないまま吸いはじめ、やめられず
に体のいい納税者に仕立てあげられている。
健康被害については、「自
分の意思で好きで吸っているものだから」と、負い目を感じ仕方ないと
諦める。もちろん、非喫煙者も副流煙被害を受けながら、「喫煙者がマ
ナーを守れば好きで吸っているのだから」と、喫煙を許容してしまう。
タバコがやめられないのはニコチン依存症という治療可能な病気だから、
という認識が喫煙者のみならず非喫煙者にも十分行き渡っていない。

 タバコの消費、および受動喫煙が健康、社会、環境、および経済に及
ぼす破壊的な影響から、現在、および将来の世代を保護するために定め
られた条約がWHO FCTC(世界保健機関たばこ規制枠組条約)だ。我が国
を含むFCTC加盟国は、タバコの大幅な値上げ、受動喫煙対策、などの国
際的な義務を果たすよう求められている。

 昨年の9月、小宮山洋子厚生労働大臣が「タバコをFCTCに則り700円に
値上げしたい」と就任会見で発表したとたん、マスコミや財務大臣、官
房長官等から批判されるのを見て、FCTCをないがしろにする状況に危機
感を抱いた。タバコ増税は、タバコ消費を減少させ、関連疾患を確実に
減らし、医療費も削減できる。喫煙による医療費等の損失コストは、タ
バコ関連税収をはるかに上回っており、またタバコ1箱750円として消
費が半減しても税収は減らないことも試算されている。値上げは未成年
の喫煙率を激減させる効果もあるが、タバコ離れを恐れるタバコ産業は
タバコ農家の保護を理由に値上げに必死に反対する。しかしFCTCに従え
ばタバコの値上げはタバコ農家の生活を脅かさない。転業を国が支援す
るように定めているからだ。実はタバコ農家を真に脅かしているのは安
い外国産タバコ葉輸入を増やしたいタバコ産業側なのだが真実はなかな
か伝わらない。

 厚生労働省は先月末、医療機関を原則全面禁煙とする方針を示し、対
策を講じない場合は入院基本料などの報酬を減額するとした。喫煙は患
者本人の治療に支障が出ることはもちろん、受動喫煙による職員や周囲
の患者への健康被害も懸念されるため病院の全面禁煙は当然だが、これ
に対して受動喫煙被害を認めない日本たばこ産業は強く反対している。
受動喫煙被害はもはや科学的に議論の余地無く証明され、それがFCTC締
結の根拠になっているにもかかわらず、だ。

 政府は国民の健康を守るために、誠実なFCTC履行を一刻も早くなすべ
きであり、沖縄の地方紙にはタバコ産業の顔色をうかがう全国紙にはで
きないタバコの真実にせまる報道を期待したい。


http://sakadiary.sblo.jp/article/54156615.html


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