こどもの受動喫煙を減らすための提言(2002年1月)

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2010年11月10日(Wed) 12:09

こどもの受動喫煙を減らすための提言

日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会

1.受動喫煙とは
 たばこの煙には、先端から立ち上がる副流煙、喫煙者の吐き出す煙があります。こどもの喫煙のほとんどは、これらを吸う受動喫煙です。こどもの受動喫煙 で、気道アレルギーが悪化して、ぜんそくが治りにくくなったり、乳幼児突然死症候群(SIDS)が増えるなどの健康影響が報告されています。

2.たばこの煙の性質
 たばこの煙は直径1ミクロン以下の非常に小さな粒子です。あまりに小さいため、気流とともに浮遊します。粒子は活性炭や繊維製品、肺、など微小な空間を通る時に多く吸着されますが、壁や天井など平坦な表面にはあまり沈着しません。
 閉鎖された室内では、たばこの煙は数分後には部屋全体に広がって薄められ、見えなくなります。しかし、沈着はごく一部だけで、粒子の大半は長時間にわ たって空気中に滞留しています。従って、短時間に室内空気を清浄にするには、気流ごと、たばこの煙を室外に出す、つまり窓を開けて換気するのが最も効果的 です。

3.こどもの受動喫煙
 こどもの受動喫煙といえば、家族が吸っているたばこの煙を直接、吸い込むことだけを考えがちです。その結果、こどもの前でたばこを吸わなければ受動喫煙 を減らせると誤解されています。しかし、受動喫煙の大半は、室内空気中に滞留している、たばこの煙を知らず知らず、長時間にわたって吸うことによって起き ています。閉め切った部屋では、目に見えず、煙たさを感じなくても、たばこの煙は空気中に滞留しています。とくに今日の住宅はエネルギーの節約のため気密 性が高く、この状態が長く続きます。こどもが家に帰ってきて、こうした部屋で数時間過ごしたとすると、直接、喫煙者の側にいてたばこの煙を吸ったのと同 じ、場合によってはその何倍もの煙を吸うことになります。
 こどもの受動喫煙への影響は、他の家族より母親の喫煙が大きいとの調査結果があります。母親は家庭内にいる時間が長いため、と考えられます。また、こど もが不在の時に吸うたばこの煙に注意が行かず、閉め切ったままでこどもを迎えることも、子どもの受動喫煙量を増やしています。

4.こどもの受動喫煙を減らすための提言
 受動喫煙を減らすには家族の禁煙に越したことはありません。しかし、それができなくても、たばこの煙の性質や家庭の喫煙状況から、こどもの受動喫煙を減らすことができます。私たちは、次の2点を国民の皆さんに提言します。

 (1)受動喫煙を避けるため、こどものいる家庭では、たばこは室内で吸わず、屋外で吸うようにしましょう。
 (2)室内で吸った場合、必ず、窓を開けて換気しましょう。とくに対面する2か所の窓を開けて自然換気するのが効果的です。


 橋本正史,片岡直樹,高橋香代,田中哲郎,田辺功,冨田和巳,村田芳子,谷村雅子(副委員長),杉原茂孝(委員長),安田正(担当理事),清野佳紀(同)

 文献

1) Strachan DP,Cook DG: Health effects of passive smoking,6.Parental smoking and childhood asthma: longitudinal and case-control studies,Thorax 53 ,1998: 204-212.

2) Vinke JG ,KleinJan A,Severijnen LW ,Fokkens WJ: Passive smoking causes an'allergic'cell infiltrate in the nasal mucosa of non-atopic children ,Int J Pediatr Otorhinolaryngol 51 ,1999 :73-81

3) Kilian M ,Husby S ,Host A,Halken S :Increased proportions of bacteria capable of cleaving IgA1 in the pharynx of infants with atopic disease ,Pediatr Res 38,1995: 182-186

4)田中哲郎: 乳幼児死亡の防止に関する研究,平成9 年度厚生省心身障害研究報告書,1998: 35-56

5)浅野牧茂,呂俊民,木村菊二,村松学,楢崎正也: 受動的喫煙の環境,喫煙と健康に関する調査研究-昭和55年度健康づくり等調査研究報告書,1980:55-121

6)大阪府立公衆衛生研究所: 平成5年度都市域における気管支喘息予防対策事業疫学調査報告書-厚生省地域保健推進特別事業,1995: 12


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