子どものための無煙社会推進宣言(2005年12月)

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2010年11月10日(Wed) 12:15 by drharasho

子どものための無煙社会推進宣言  私たち小児科医と子どもに関わる保健医療福祉の専門職は、子どもたちが健やかに成長していけるよう手助けし、ア ドボカシー(advocacy)の精神にたって子どもたちの代弁者として、安全に安心して暮らせる社会の実現を図ることを使命としています。その重要な使 命の一つとして、これまで「小児期からの喫煙予防に関する提言」(日本小児科学会、1999年12月)等の提言・宣言(*)により、子どもたちをタバコの害から守る活動を提唱し実行してきました。

  一方、2005年2月27日に、公衆衛生領域では世界初の国際条約である「たばこ規制枠組み条約」が発効し、わが国も条約を遵守するため国内法の整備を進 めることとなりました。この条約は、タバコの消費が健康に及ぼす悪影響から現在及び将来の世代を保護することを目的とし、タバコの使用(能動喫煙)及びタ バコの煙にさらされること(受動喫煙)を継続的かつ実質的に減少させるための規制を締約国に義務づけています。

  こうした世界的潮流の中で、私たちはこれまでの活動を発展させ、より確実に子どもたちをタバコの害から守るため、タバコの無い社会(無煙社会)の実現とタバコを吸わない世代(無煙世代)の育成を目指し「子どものための無煙社会推進宣言」を行います。


  1. 私たち小児科医と子どもに関わる保健医療福祉の専門職は、自らが非喫煙者であることをめざし、また周囲の者への禁煙支援をおこなう。
      さらに医学生、看護学生など将来の保健医療福祉専門職への禁煙教育充実を推進し、率先して無煙社会推進宣言を実行する担い手を育てる。


  2. 子どもに関わる全ての専門職、すなわち保健医療福祉関係だけではなく、教育関係・行政関係の諸学会、諸団体に無煙社会推進宣言への賛同を求め、それらの学術集会など諸活動を完全禁煙のもとに行い、そのことを活動の案内文、会場等に明示するよう求める。


  3. 胎児期から成人に至るまでの全てのライフサイクルにおける受動喫煙を防止するため、妊産婦や子どもが生活するあらゆる空間、すなわち家庭・教育機関(幼稚 園から大学院まで)・保育所を含んだ福祉施設・医療機関・地域における「無煙化(smoke-free)」を促進する。

    1)全国の教育機関、小児科・産科医療機関における「敷地内禁煙」の完全実施を求め、その実現のため関係者への禁煙支援を行う。

    2)小児科医は、診療時に家庭内の喫煙状況を必ず確認し、家庭内での喫煙を強く戒め、また喫煙者に対する禁煙支援を積極的に始める絶好の機会を有していることを自覚し、その地域にある他の禁煙外来との連携も推進する。

    3)未成年者喫煙禁止法を遵守するためにも、未成年者が自動販売機からタバコを買えないよう、通学路や子どものアクセスしやすい場所にある自動販売機の撤 去をまず求めると共に、コンビニエンスストアなどでの対面販売でも、未成年者への販売が行われないような具体的対策の実行を、政府などの関係各方面に求め る。

    4)公共の場や人が大勢集まる場所での受動喫煙から子どもたちを守るため、喫煙室、喫煙場所、喫煙車両へは子ども連れの入室禁止が原則であること及びその 際の管理者責任を明確にし、路上禁煙地域の拡大を推進するとともに、少なくとも通学路は全て禁煙とし、通学路標識に付随して「歩行中禁煙」の表示を行う。 また、保護者を含んだ全ての喫煙者に対して、「子どもは歩く禁煙マーク」であることの認識を持たせ、子どものそばでの喫煙が許されない行為であるという自 覚を促す。


  4. 子どもの喫煙者に対しては、叱責や処分ではなく、ニコチン依存症としての治療を第一とする新しい考え方を教育現場に普及させ、全国どこででも適切な対応が可能となるよう、「子どものための禁煙治療外来(卒煙外来)」のネットワーク確立を推進する。

      これら活動を推進し実現するための諸施策について、政府などの関係各方面への働きかけを協働して積極的に行い、タバコ税増税といった政策的な対策も求め、無煙社会の早期実現をめざす。

2005年12月6日 社団法人 日本小児科学会
社団法人 日本小児科医会
社団法人 日本小児保健協会

(順不同) (*)「子どもの受動喫煙を減らすための提 言」(日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会、2002年1月)、「日本小児科医会宣誓」(2003年1月)、「未成年者の喫煙を無くすための学校無 煙化推進」(日本小児保健協会学校保健委員会、2003年9月)、「禁煙推進に関する日本小児アレルギー学会宣言2004」(日本小児アレルギー学会、日 本小児科学会、2004年11月)。


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