財源確保に「たばこと酒」の増税を 年間1兆5000億円近くを捻出できる試算

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2011年03月31日(Thu) 06:21

とにかく短期間に税収をあげ、それが国民の健康につながり、
長期的にもよい効果が期待されるわけですから、
この政策を誰も提案せず、また政府が実行しないとしたら・・・

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http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110328/219177/?P=2&rt=nocnt
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復興への道

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財源確保に「たばこと酒」の増税を 年間1兆5000億円近くを捻出できる試算

    * 2011年3月30日 水曜日
    * 川村 雄介

 今回の大災害の被害総額は、政府、民間とも20兆円程度の巨額に上るものと予想している。
しかし、単なる復旧のみならず、被災地の真の復興、あるいは創生という観点からは30兆円ま
で想定しておく必要があるかもしれない。1923年の関東大震災では、現在の貨幣価値に直すと
総額50兆円以上を要したのである。8年間にわたり毎年、国家歳出の6~7%に相当する金額を
出費したという。

 さて、復興資金は2段階で考える必要がある。第1段階は向こう2年以内の「復旧」資金だ。
これには、まずは予算組み換えによるやり繰り、補正予算や借り換え国債の前倒し発行などで
対応していくべきだろう。このレベルはなんとか対応できそうだ。

 問題は、本格的な「復興」「創生」に必要な10兆円単位の財源である。この調達について、
大和総研は「復興基金」を創設し、この基金に「復興基金債券」と「復興連帯税」で資金を注
入する方法を提言している。

日本人全員が被災地の痛みを分かち合う

 復興基金債券とは、国が償還を保証した財投債に類似した性格を持つ債券で、約1500兆円の
家計金融資産と機関投資家などによる投資を活用しよう、との発想だ。復興基金債券には償還
方法や手数料等に工夫を加えた複数種類のタイプを用意することになるだろう。

 一方、復興連帯税は、被災地の復興に使途を絞り込み、課税期間を限った一種の目的税であ
る。税源にこだわる必要はないが、「国民全体で少しずつ負担していく」「日本人全員が被災
地の痛みを分かち合いながら、1日も早い復興を実現する」という理念に照らすと、消費税の
一定の引き上げが最適であろう。

 消費税であれば、事業者は仕入れ税額控除ができるので、企業活動への悪影響を緩和するこ
とができる。1%の消費税率アップで年間2兆円以上の増収となる計算だ。これを3年間に限って
実施しても7兆円の財源確保が可能となる。5年間続ければ12兆円となる。言うまでもなく、被
災地の企業や住民には負担を求めない仕組みを工夫して行く必要がある。

 復興連帯税に加えて、所得税やほかの特別税などへの緊急増税も検討していくべきかもしれ
ない。しかし、その場合、法人税増税は避けるべきだろう。今回の災害は日本企業全体への大
きなマイナスも想定されている。企業活動の活性化が不可欠であるし、仮に法人税増税を行っ
ても企業収益の減退が懸念される中で効果は望めまい。

嫌煙社会の中でいささか救われた気持ちに?

 むしろ、この際、たばことお酒への時限的な災害復興増税を真剣に検討すべきだと思う。復
興連帯税の一種と位置づけても良い。これらは嗜好品でもあり、企業活動や個人消費への影響
も最小限に食い止められるのではないか。不要不急で財政物資ともいうべきたばこやお酒に、
火急の必要資金を担ってもらうのである。

 たばこからの国税収入は年間1兆円程度である。現在では、1本当たり、国税だけでも5円30銭
強のたばこ税と82銭のたばこ特別税(旧国鉄と国有林事業の負債を負担する)がかかっている。

 たばこ税は昨秋大きく値上げしたばかりではあるが、この危急時にあたって、例えば1本当た
り5円増税したとしよう。年間の販売本数は約2300億本であるから、毎年1兆円以上の財源が得
られることになる。1箱100円の値上げにはなるが、愛煙家も一服するごとに、被災地復興の手
助けをしていると考えれば、昨今の嫌煙社会の中でいささか救われた気持ちになれるかもしれ
ない。

筆者はヘビー・スモーカーかつ酒好き

 酒税は年間1兆4000億円強だ。これも税率は既に高いレベルで、ビールは大瓶1本当たり140円
の税金である。ビールからの税収は6600億円、焼酎からが2200億円、発泡酒や「第3のビール」
などを含めると、広い意味でのビール類と焼酎で酒税の8割を占めている。

 このように庶民のささやかな楽しみにさらなる増税を断行することには抵抗感が強いだろう。
しかし、これも被災地の一刻も早い復興と日本の再生のために、3年から5年の間、成人皆で痛み
を分かち合っていると思うべきではないだろうか。

 仮に酒税を20%増税すると3000億円近い財源を生むことになる。先のたばこ増税分と会わせる
と年間1兆5000億円近くに上る。ちなみに筆者はヘビー・スモーカーかつ酒好きである。

 また、気になるのが福島原子力発電所の事故に伴う損害だ。たとえば、福島県と茨城県の年間
の農業産出額は合計で約7000億円である。両県の周辺に位置し既に放射能の影響を受けつつある
千葉、栃木、群馬、埼玉4県の合計農業産出額は1兆1000億円である。万一、福島、茨城の農産品
全てと関東4県の農産物の半分が損害を被ると想定すると、被害額はこれだけでも1兆2000億円を
超えてしまう。この額はおおむね上に提示したたばことお酒の増税分に見合う。原発被害は水産
物への影響も懸念されるし、今後の広がりは予断を許さない。

 増税を歓迎する国民は1人もいないだろう。だが、今回の大災害の被害はまさに今ここに厳然
と存在し、放置すれば取り返しがつかなくなり、かつ目に見える痛ましい限りの悲劇である。し
かも他方で、復興の方法次第で日本が大きく再飛躍するチャンスにもなり得る。そのような「千
年に一度」の緊急で重大な時に、せめてたばことお酒の増税くらいは歓迎したいものである。
このコラムについて
復興への道

東日本大震災は日本の経済、産業、社会、そして人々の心に大きな爪痕を残した。復興の道のり
は果てしなく長く、国民の英知を結集して辛抱強く取り組む必要がある。未曾有の大災害から立
ち上がるための方策とは何か。各専門分野から「復興への道」を提言、提示する。

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著者プロフィール

川村 雄介(かわむら・ゆうすけ)

大和総研専務理事
1977年 東京大学法学部卒、大和証券株式会社に入社。1981年 ワシントン大学よりLL.M.(法
律学修士)取得。2000年 長崎大学経済学部、同大学院教授。2008年 日本証券業協会 自主規制
会議公益委員。2009年 財政制度等審議会委員。2010年 大和総研 専務理事。日本証券経済研究
所理事、大阪証券取引所社外取締役を兼務。


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